こちらに共通ヘッダが追加されます。
  1. 経済学部/経済学研究科ホーム
  2.  > 教員インタビュー
  3.  > 教員インタビュー(2014年7月17日)

教員インタビュー

第2回~第4回は教員&高校生の座談会形式で開催。
経済学部の教員と高校生が語り合い、身近なテーマから経済学をひも解いていきます。
教員インタビュー

【第2回】インタビュー実施日/2014年7月17日

奥田先生と学生

■ お祭りを支える経済のしくみ

奥田:
僕の研究テーマは、京都の町を中心にした都市コミュニティの歴史です。たとえば、「町内会の歴史」を調べて、社会や経済状況の変化にどんな影響を受けてきたのかを研究しています。今日は、みなさんに身近なものごとがどう経済と結びつくのかを感じてもらえたらいいなぁと思っています。
ちょうど今日は祇園祭の前祭山鉾巡行の日ですから、「お祭り」をテーマに話してみましょう。お祭りにはどれだけたくさんのことがつながっているのか、想像力を膨らませてくださいね。みなさんは、お祭りは好きですか?
インタビュー1
沖口:
お祭りでわいわいするのは好きです。

上島:
ふだんは欲しいと思わないものも、お祭りのときはテンションが高くなって欲しくなったりしますね。

奥田:
確かに盛り上がりますよね。祇園祭では、大きな鉾では高さ約25メートル、重さ十数トンにもなります。これを釘一本使わずに組み上げるのですが、実際のところ作るのも維持するのも大変です。じゃあ、それは誰がやっているのか?というのが大きな疑問です。お祭りで活躍するのはどんな人ですか?

松下:
若い人、地域のことをよく知っている近所の人だと思います。

奥田:
そうですね。でも、活躍するのは若い人だけではありません。地元の年配の人も若い人も一緒にがんばってやってるんです。必要なお金を集めたり、お神輿を作ったり直したりしています。
 (祇園祭の山鉾の写真を見ながら)これを作って維持するのは大変です。こういったものには、大きな商家が莫大な寄付をしている場合もあります。
 お祭りは色んな人が関わって協力し、お金も出し合ってできているわけです。
また、祇園祭の山鉾のようなものを作るには、お金が必要なだけではありません。多種多様な職人さんが活躍します。では、ものづくりには、何が必要だと思いますか?

松下:
材料と、作るための技術。あとは、ものづくりのための場所でしょうか。

上島:
(祇園祭の山鉾に飾られている織物の写真を見て)染めたり、織ったりするための道具?

奥田:
そうですね。人は道具なしにはものを作れませんから、“職人さんが使うための道具”を作ってくれる職人さんも必要になります。道具を作るためには、またその材料となる木を育てる林業の人が必要で……と、どんどんつながっていきますね。だんだん社会のつながりが見えてきます。気になったことをひとつひとつ考えて、「どんなしくみがあるのか?どんな歴史をたどってきたのか?どんな人たちが関わっているのか?」などと考えていくと、それは経済学につながってくるんです。

■住みやすい町ってどんな町?

奥田:
今度は、お祭りの話を発展させて地域をテーマに話してみましょうか。いま話をしたように、お祭りをするには地域の人の存在が不可欠です。では人が集まって住みたくなるのはどんな町でしょう。みなさんは、どんなところが住みやすい町だと思いますか?

富田:
みんなが顔見知りで、近所の交流がある町がいいです。

沖口:
マンションは冷たいイメージがあります。一軒家の多い町のほうがいいなと思います。人のつながりがしっかりありそうだから。

松下:
みんなに信頼されるリーダーがいる地域でしょうか。
インタビュー2
奥田:
なるほど。それでは、地域のつながりをつくるにはどんなしくみがあると思いますか?どうしたら自分の町を好きになれるでしょうか。

富田:
僕の住む町では、年末に町内で行うお餅つきが地域のつながりをつくっています。

奥田:
それはいい行事ですね。

上島:
公園を増やして、その環境をよく保つことでしょうか。せっかく公園があっても治安が良くないと行けなくなりますから。みんなで遊べる遊具が多いといいなあとも思います。

奥田:
今言ってくれたことは、専門的な言葉でいえば「都市デザイン」の分野の課題ですね。たとえば、人づきあいのしやすい町にするには、道幅が狭くて曲がりくねっていることが良いと主張している研究者もいます。

富田:
なぜですか? 人がすれ違うときに挨拶をしなければいけないからでしょうか?
奥田:
それも面白い意見ですね。理由のひとつは、車が通れないからです。車が通ると道は「危ない場所」になってしまいます。これが町内のつながりを壊すんです。たとえば、京都の「町(ちょう)」は、道を挟んだ両側の家が同じ町内になる「両側町」というしくみになっています。道は町内の人たちの共有空間になっていて、そこで町内の人が「おはようございます」と挨拶をするわけです。いわば「広場」になっているんです。車が通るとそういう「広場」が危険な場所になってしまう。そんな共有の場をさえぎらないように、車が通れない道幅にしよう、という考え方があるんです。
教員インタビュー

■ 経済学で「世界を見る目」を変える

奥田:
先ほど地域の話をしましたが、「どうやって地域社会のつながりをつくるのか?」、「地域社会がどうやって人を育てるのか?」という問いに対する答えのひとつがお祭りだと思います。地域の餅つきもですが、お祭りをするとなると「子どもを楽しませよう」「じゃあ、露店を呼ぼうか?」と地域の大人たちのなかで相談がはじまります。お祭りには、地域のつながりを密にする機能もあるわけです。
住みやすい町には人が集まり、経済活動も活発になります。日本一の観光都市・京都では、お祭りはいわばメイン産業のひとつである観光業の一翼を担っています。「お祭りをつくっているのは誰なのか?」「住みやすいのはどんな町なのか?」、これだけのテーマでもいろんなことが見えてきますし、4人で議論していると、いろんな意見が出てきますね。大学の授業では、こうした議論を徹底的に深めていくことになります。

上島:
少し大学の授業のイメージがわいてきました。ゼミではどんなことをするんですか?

奥田:
先生によってさまざまです。フィールドワーク中心のゼミもあれば、文献を読んで研究することが中心のゼミもあります。たとえば、僕のゼミでは、ものづくりをする職人さんへの聞き取り調査を行っています。ゼミは少人数で行うので、学問を通じた仲間ができる良さもあります。共同作業を通じて人間関係ができていくので、卒業後もつきあいが続くような仲間になりますよ。

沖口:
経済学が生活のなかで役立った経験はありますか?
奥田:
たとえば、どういう風にして今の経済社会ができてきたのかということを知れば、お金を見る目も、歴史観も変わるでしょう。僕は学生のときにそういう経験をしました。また、経済社会のあり方を知れば、世界と日本のつながりについても新しいイメージを持てるようになります。経済学を学ぶと、いろんなものごとのしくみがわかるようになります。そうすれば、社会を見る目が変わります。日常生活のなかで感じたことを素直に受け止めて、「なぜそう思うんだろう?」「なぜそんなことが起きるのか?」と疑問をため込んでいってください。疑問があればあるほど、学ぶことが面白くなります。経済学は裾野が広いです。どんなテーマでも、「そのしくみはどうなっているのか?」、「そのしくみをどうつくるのか?」を考えていくと経済学につながります。ぜひ経済学部に来てください。
教員インタビュー
colum
.