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専任教員紹介

大谷 実 Minoru Ohtani

研究テーマ近代ドイツ社会経済史
研究室良心館476号室
演習(ゼミ)紹介
詳細
大谷 実
 現代は、あらゆるものが、かつてないほどの規模・速度で国境を始めとした境界を越え、行き交うようになってきており、これをグローバル化の進展と見なすことができますが、こうした動向は人類の長い歴史のなかで初めての経験とはいえません。
 いわゆる大航海時代が幕を開ける以前から、アジアなどでは海を超えた交易が盛んに行われていましたし、私の研究対象である近代ドイツにおいては、関税同盟、北ドイツ連邦、そしてドイツ帝国の成立を通じて、プロイセンなど領邦国家を超えた自由な経済活動が繰り返し追求されてきました。それは工業化を推進する過程であっただけでなく、ナポレオンの衝撃を受けたドイツが国家統一を目指し、「ドイツ人」を基礎単位とした国民国家の形成を進めていく過程でもありました。
 従来の制度を組み替え、刷新していくことで、今までの枠組みを超えた規模で「移動の自由」を実現し、労働力移動を容易にするとともに、国民としてその帰属意識を涵養していく――こうしたプロセスは、例えば現代のEUに通じており、私たちはその歴史から学ぶものがあります。
 これまで私は、このような近代ドイツにおける社会経済状況に関心を寄せて研究を行ってきました。国民国家の形成と工業化の推進によって、社会が大きく揺れ動き、変化が求められるなかで、その社会の周縁に位置していたマイノリティは、どのような立場に置かれ、いかなる点が問題視されたのでしょうか。これは、当時のドイツ社会において求められた国民の姿、望まれた生活様式や職業意識を浮かび上がらせます。いわば、マイノリティ政策を手掛かりとした、ドイツ社会の特質の検討です。このような観点から、具体的には当時のバイエルンにおけるシンティ・ロマ(かつて「ジプシー」などと呼ばれた人々)に対して行われた政策を取り上げ、研究してきました。
 今後は、こうした検討作業を地域(ドイツと周辺ヨーロッパ諸国の傾向を比較する)と対象(行商人や下層民の歴史から上記の問題にアプローチする)の観点から広げていくこと、そして政策展開のみならず生活史(住民とマイノリティの関係性)の観点も含めた多角的な検討にしていくことで、近代における社会経済の特質と問題点(そこには当然、日本も含まれます)を明らかにしたいと考えています。

学生へのメッセージ

 インターネットの発達などにより、情報にアクセスすることが容易となった現代では、「今どきの大学生」は内向きだとか、恵まれすぎているだとか、色んなネガティブな声が聞こえてきやすいかもしれませんが、周囲が大学生のことを揶揄するのは今に始まったことではありません(私の学生時代にも似たようなことがありましたし、他の人だってそうでしょう)。
 空疎な非難には耳を貸さずに、勇気を持ってこの広く、深く、入り組んだ世界に分け入っていき、他ならぬ自分自身が「知りたい」「面白い」と思えること、ファスト・フードのように手軽ではなく、一朝一夕に成しえるものではないけれど、腰を据えてじっくり取り組みたいことを探してみてください。
 それは趣味や仕事、友人関係や社会活動、あるいは勉強になるかもしれない。すぐに役に立つものかもしれないし、役に立つかどうか今は判別できないものかもしれない。そう易々とは見つかりませんが、いずれにせよそれは、学生生活を終えたあとも、私たちを支え、豊かさと自由をもたらしてくれます。そしてあなた方がそれを、この大学や学部の営みのうちに見出したとしたら、これに勝る喜びはありません。

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