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教員の現代経済ウォッチング

Vol.59 自分の適性を知っていますか?

消費者が商品を買うとき、あらかじめ品質が分かっているのが普通です。もちろん売手は商品の品質を知っています。このとき情報は売手と買手の間に対称的に分布しています。商品によっては、売手は情報を完全に持つものの、買手はまるで持たないものがあります。中古住宅や中古車が好例でしょう。購入した後でないと商品の良し悪しは判断できません。大学もそうです。入学後、初めて内容が分ります。この現象を経済学は情報の非対称性と呼び、市場メカニズムでは解決できない問題、市場の失敗が発生すると考えます。
八田 英二

八田 英二

近頃、3年生の後半から4年生にかけては、企業研究、エントリーシートの作成、それに企業訪問と学生生活は就職活動一色です。内定までには、来る日も来る日も自己PRの連続です。それもこれも売手の人物を企業がまるで知らないからです。就職市場では情報の非対称性が顕著です。何とかしようと採用担当者は学生の品定めに躍起となり、あの手この手で断片情報を集めます。どの大学、どの学部出身か、体育会系クラブ所属か、資格や特技を持つのか、SPIの成績は等々、全体像は無理でも、人物の一端は掴めそうです。

話を複雑にしているのは、労働力の売手である学生には、自分の能力、性格がどの職業、職種向きなのか、雲をつかむような話で、分かっていない者が多いという現実です。七五三現象と呼ばれますが、中卒七割、高卒五割、大卒三割が就職後、三年以内で離職するのは、買手のみならず売手の情報不足に由来しています。

何とかせねばと大学も頭を痛めています。かつて就職支援といえば、就職先の開拓と紹介、模擬試験や面接と、就職一点に狙いを定めたものでした。最近は、新入生から一生涯を見定めたキャリア形成支援に方向転換しています。人生観や職業観の涵養、人間関係の構築手法、自己啓発の奨励など、手取り足取り、学生向けメニューも揃っています。

流行のインターンシップも見逃せません。お客様待遇は論外ですが、在学中の一定期間、厳しい実務に触れるのは貴重な経験です。カリキュラムに組み込み、履修を勧める大学もあるほどです。

万全の心構えと十分な予備知識で臨んでも、就職後、ある程度の離職者が出るのは世の常です。最近の社会は若者の再挑戦を受け入れる柔らかな構造に変わっています。願わくは、情報不足を克服し、チャレンジ精神旺盛に悔いのない人生行路を歩んでください。

八田 英二八田 英二
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