学部長ご挨拶


 同志社大学経済学部は、その原型というべき『同志社政法学校』の開設(1891年)以来、高い水準の経済学研究と経済学的思考力を備えた人物の養成に努めてきました。2018年には、学部独立70周年を迎えます。
 広く知られているように、創設者新島襄は、1888年に『同志社大学設立の旨意』を発表し、自らの教育理念を明らかにしています(学生諸君また経済学部にご関心のある方々は是非ご一読下さい)。グローバル化や科学技術の複雑化と知識社会化の進展への対応といった大きな変化に直面している現代社会において、そこに掲げられている教育の理念は、ますます重要性が増していると確信します。一方、現代的課題はそれぞれ経済活動と密接に関連しています。ひとりひとりの生活は経済と切り離せません。また、経済活動によってひとりひとりはつながっています。経済は社会を形づくる経糸(たていと)のようなものです。こうしたことから、現代社会が直面している課題の解決にあたって、経済学に対する社会の期待それゆえ経済学をつうじた教育の意義や有効性は、きわめて大きいといえるでしょう。
 経済学部では、経済学の専門的知識を習得し経済的思考力を養うために、理論・歴史・政策・環境・情報といった幅広い分野を系統的・段階的に学びます。そのさい、学生諸君には、知識のインプットにとどまらず新たな知のアウトプットを、つまり研究の実践を期待します。その過程では、情報を収集する力、多様な意見を適切に理解し整理する力、それらを批判的に検討する力、そして望ましい解決策や代替案を導き出す力が養われます。こうした力があれば、状況が変化して新たな課題に直面した場合にも、自らの取るべき望ましい途を明らかにすることができます。とすれば、創設者が目指した「その人独自の見識を備え、公明正大であり、自らの腕をふるって自らの運命を切り開く人物の育成」にかなうといえます。また、既存の言説を「理解する」という段階からそれらを駆使して「新たな知を創る」段階へ進むことによって、「知の発展」が実現されます。知の遺産の発展的継承は、大学に課せられた重要な社会的機能であることはいうまでもありません。なお、2018年度より、経済学研究科では大学院教育のいっそうの充実を図る取り組みが進められます。
 さらに経済学部では、「学生プロジェクト」や「海外インターンシップ」など、自発的学習や国際化にも対応した学部独自の学びの仕掛けがたくさん用意されています。それらを利用して、深い洞察力と自治自立の行動力を強化して下さればと願います。
 ところでこうした一連の学びは、卒業生、企業や地域社会など、キャンパスの外にいらっしゃる方々のご支援によって成り立っています。学部発足70周年を契機として、教職員一同は、よりよい研究と教育の実現に向けてなおいっそう努力していく決意です。平素より、経済学部の活動にご理解とご協力をいただいている皆様には、今後とも変わらないご支援をどうぞ宜しくお願い致します。
 学生諸君は、若々しいエネルギーと自由に処分できるたくさんの時間を持っています。それらは皆さんのかけがえのない財産です。その大半を経済学部での学びに活用して、将来の社会を真に支える人物になられることを大いに期待しています。
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同志社大学経済学部・経済学研究科長
谷村 智輝