専任教員紹介

三俣 学 Gaku Mitsumata

三俣 学
研究テーマエコロジー経済学
コモンズ的な環境資源管理に関する学際的研究
研究室良心館366号室
演習(ゼミ)紹介持続可能な経済社会の構築に向けたコモンズの可能性と限界に関する学際的研究
詳細研究者データベース(オリジナルサイト)
模擬講義
 私は、持続的に環境資源を利用していくためには、どのような管理制度が望ましいか、ということについて研究をしています。ながらく経済学をはじめ社会科学の多くが、経済社会を市場(私的部門)と政府(公的部門)の二部門から構成されると捉えてきました。私は、この「公」と「私」の中間にあるコモンズ(「共的部門」)に注目して研究を進めています。
 コモンズ(共的部門)は、市場に代表される利潤追求を基本とする競争原理(私的部門)でなく、また権力を背景とする画一的な統制の原理(公的部門)でもない、それぞれの地域社会における非市場的営みを軸とする自治を原理として機能しています。元来、地域ごとに異なる自然環境は、地域住民が日々の利用を通じて創りだすルールや慣行に則って自治的に管理されてきたことが多いのです。近年、このコモンズの果たす資源管理上の意義や役割が世界的に注目を集めています。
 しかし、グローバル時代にあって、環境資源を持続的に共同管理してきたコモンズの姿は劇的に変化を遂げています。たとえば、薪や炭などの燃料は燃料革命で石油に代替され、手塩にかけて育てた建築用材はより安価な外国産材に圧倒されて、売れなくなってしまったのです。地域の人々にとって共同して森林を守る強い動機が失われてしまった結果、日本の森林は低利用や放置がなされるようになり、木材生産機能ばかりか、森林の持つ公益的機能(土砂の流出を防止する機能、水源を涵養する機能など)を衰弱させる事態になっているのです。これは森林に限ったことではありません。農林水産の営みの基盤つまり山野海川(さんやかいせん)の世界は、おおよそ似通った傾向を呈しているといっていいでしょう。
 こういった問題に対応するためには、従来の地縁コミュニティだけでなく、地域外の人々との共同や協働に基づく「新しいコモンズ」の構築が必要です。しかし、その構築は一筋縄ではいきません。外部の人たちの地域へのかかわり方や地域住民の受け入れ意思・体制など現場は無数の課題で満ちています。それらの一つにして根幹をなすのが所有の問題です。とりわけ、扱われ方次第で大きな外部性をもつ自然環境を絶対排他的な所有の対象とすることが本当に望ましいことだろうか、という問いです。
 他国に目を転じると、誰の所有地であっても、すべての人が自然にアクセスできるよう法律で定めている英国(Footpathやcommon land)、アクセスだけでなくベリーやきのこなど採取行為まで認めている北欧・中欧諸国があります。自然を傷つけない、所有者のプライバシーを侵さないことを条件に、万人が自然を愛で、その機能や価値を理解する機会を政策的に作り出しているのです。同一空間を万人が利用できるとなれば、所有者と利用者、利用者同士でのコンフリクトが生まれることが、簡単に想像できるでしょう。では、どのようなルールや調整がそこに存在するのでしょうか?私はこのような関心を持って、国内だけでなく、英国・北欧・中欧・米国でのフィールド調査をしています。研究の挑戦を通じて、コモンズを活かす「公」や「私」の在り方を展望する環境政策論を展開したいと思っています。

学生へのメッセージ

大学時代は、生涯において与えられた貴重な自由な時間です。存分に謳歌してほしいです。研究も難しく考えすぎず、まず自分の興味から第一歩を踏み出してください。

演習(ゼミ)

演習テーマ:持続可能な経済社会の構築に向けたコモンズの可能性と限界に関する学際的研究

私の研究テーマは、環境経済学・エコロジー経済学です。私の場合、地域に着眼点の重きを置いて、資源・環境問題にアプローチしています。地域住民の共同・協働の仕組み(コモンズ)が、環境資源の持続的な利用や管理にどのような役割を果たしうるのか。あるいは、そのような地域の持つ力を引き出すような地域外の人たち(市民、NPO、行政)の「かかわり」はいかなるものか、ということについて、各地域の現場に即し研究をしています。演習においても、地域(「生きた声」)から学び、そこから得られる知見を、経済学だけでなく民俗学、歴史学、生態学、社会学、政策学など、関連する諸学の助けを借りて、分析や考察を深めていくことを学びます。このような演習ゆえ、フィールド調査や研究合宿に参加し、地域の現場から学びを深めたい意向を持つ学生を歓迎します。演習の運営(とりわけ、ゼミ合宿やインゼミの開催日)については、皆さんと随時、相談しながら進めていきます。
2年次演習
フィールド調査法に関するテキストを読み、個人ないしグループで、研究上の問い(リサーチ・クエスチョン)および仮説を立てるトレーニングを行います。同時に、関連する先行研究の精査を通じて、実証方法について学びます。その学習の成果を報告会等(環境経済・政策系6大学インゼミを12月に予定)を通じて行います。
[履修条件]
フィールド調査・調査合宿・インゼミに積極的かつ強い参加意思を有すること
※「環境と資源」を履修していることが望ましい(絶対的な条件ではありません
3年次演習
資源・環境問題に直面する現場でのフィールド実習を実施し、当該地域での文献収集・聞き取り調査・アンケート調査の基礎を学びます。またElinor Ostromなど北米のコモンズ論や日本のコモンズ論の文献研究も随時行い、環境資源の共同管理について理解を深めます。
その研究成果を報告会等(環境経済・政策系6学インゼミを12月に予定)を通じて行います。
[履修条件]
フィールド調査・調査合宿・インゼミに積極的かつ強い参加意思を有すること
「環境と資源」ないし「環境政策1・2」のどちらかを履修済み・履修予定していること
卒業研究
3年次までの演習で身に着けた能力を前提として、卒業論文の執筆を目的とします。履修者との個別面談を通じ、卒業論文のテーマ設定、先行研究の精査、検証方法等を決定し、卒業論文の完成を目指します。
[履修条件]
フィールド調査・調査合宿・インゼミに積極的かつ強い参加意思を有すること
「環境と資源」ないし「環境政策1・2」を履修しフィールド調査の基礎を会得していること

関連する科目

既修・併修を強く勧める科目
  • 環境と資源
  • 環境政策ⅠⅡ
  • エコノミクス・ワークショップ・プライマリ2 (コモンズと持続可能性:環境資源の自治的管理にみる知恵と教訓)


  • エコロジー経済1・2
  • エネルギー経済1・2
  • エコノミクスワークショップ2-里山保全の実践経済学1・2
既修が望ましい科目
  • エコノミクスワークショップ2-コモンズと持続可能性:環境資源の自治的管理にみる知恵と教訓
 
履修を勧める2年次演習関連科目
 
 
履修を勧める3年次演習関連科目
 
 

関連する演習

学生による「私のゼミ紹介」

 三俣ゼミは2020年度に始動し、現在一期生と二期生が所属しています。ゼミ生としての「私の目線」で、ゼミの特徴と活動内容を紹介します。 まず、三俣ゼミでは主体的に行動する力、協調性を身に付けることができます。先生は学生に大学生活全般を謳歌してもらいたいと考えていらっしゃるため、クラブ・サークル活動はもとよりボランティアなど大学生らしい幅広い活動にも注力できます。ゼミでの学びは、班やゼミ全体で共同することが多く、私たちは、知らず知らずのうちに助け合える仲間になっています。 次に、ゼミ活動の特徴と2020年度に行った活動について紹介します。

1.ゼミの特徴(その1)「フィールドワーク」と「既存研究」の双方に取り組む!
 三俣先生はフィールドワークを大切にされており、ゼミ活動においても、学生とともに直接体験・見聞きし、その地域のあり方や自然について学ぶ機会を持たれます。また、座学も重視されているため、 社会調査の方法論をはじめ、地域資源・環境・政策など幅広い分野の先行研究を学ぶことができます。

2.ゼミの特徴(その2) 自分の興味・関心に基づいて研究できる!
 難しいように感じる研究への第一歩を踏み出すために、それぞれの興味・関心のあるテーマで研究を進めることができます。三俣ゼミには、環境問題・地域活性化に関心のある学生が多く所属しています。先生は 常に学生の意見に耳を傾けて下さり、上手くいかないことがあると、改善点や別の方法について丁寧に教えてくださいます。また、どのような事象にも「なぜ」や「どのように」といった問いを立てるプロセスを大切にし、考える機会を沢山与えてくださるため、自分たちの研究への理解を深めることができます。

3.2020年度の活動の紹介
 2、3年では、テキストの輪読やフィールドワークを通して、資源・環境問題やコモンズ、また、フィールド調査法についての理解を深めます。それと平行して、年末に開催される6大学合同ゼミに向けた研究を進めます。この 6大学合同ゼミというのは、金沢大学・龍谷大学・兵庫県立大学・専修大学・南山大学そして私たちの同志社大学で環境経済・政策に関する研究を進めるゼミ生らが、一堂に会する機会です。合同ゼミでは、学生たちがそれぞれの研究成果を発表し、学生間で意見交換をしたり、環境経済・政策を専門に研究されている先生方から直接コメントを頂けたりする大変貴重な機会です。
 三俣ゼミ第一期生の私たちも、昨年(2020年)度、「オープン・スペースとしての京都御苑」、「クマによる被害増加の原因は何か?」、「京都市の食品ロス削減の要因は何か?」の3つの報告を行いました。コロナ禍で活動が制限されてしまいましたが、できることを見つけて、班員と協力し合いながら全力で頑張りました。

 本ゼミはグループワークが多いため、ゼミ生とのディスカッションを通して、深い思考だけでなく、ゼミ生同士の仲を深めることができます。また、フィールドワークを通して、座学だけでは得られない気付きを得ることができます。皆さんも一緒に学びませんか?

上野安結