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本領 崇一

専任教員紹介

本領 崇一 HONRYO Takakazu

honryo
研究テーマ 情報伝達の理論、ゲーム理論
研究室 良心館568号室
演習(ゼミ)紹介 情報の経済学・政治学
詳細 研究者データベース(オリジナルサイト)

 情報の経済学、ゲーム理論が私の専攻です。

 我々の社会生活の中で、誰かだけが、他者には知られていない情報を持っているような戦略的状況は多々あります。そのような状況をゲーム理論的に分析しようというのが私の研究テーマです。より詳しくは、シグナリングゲームと呼ばれている類のゲームが専門です。

 応用は多岐にわたります。例えばセールスマンが消費者を説得するような状況も、セールスマンが製品についてより多くの情報をもっているなら、シグナリングゲームの分析対象となります。恋人に結婚してくれと説得を試みるのも、どのくらい本気で愛しているのか自分にしかわからないため、やはりシグナリングゲームです。また、ボードゲームの将棋は、二人零和完全情報ゲームという種類のゲームですが、例えば私が羽生永世七冠と将棋を打つとします。私は羽生先生があらゆる戦術をさしこなす棋士だということを知っていますが、一方で羽生先生は私の将棋のスタイルを知らないので、シグナリングゲームとして記述することはできます。

 より間接的な応用として、社会心理学的な話題にゲーム理論からのアプローチを試みるような事もやっています。例えば、人々は個人で行動するときよりも、グループで行動するときのほうがリスキーな判断をしやすいという事を示した一連の実験結果があります。この現象は、ある種の意思決定メカニズムの下では(特に選挙!)、シグナリングゲームを用いて説明することができるというのが私が最近出版した論文です。かいつまんでいえば、被選挙民にとって、過激でリスキーな事を言う事が自分の能力の高さを強く“シグナル”するツールとなり、それが結果的に全体の意思決定をゆがめるというのが分析結果です。シグナリングゲームの応用範囲の広さを示す例だと思います。

学生へのメッセージ

 学生のうちにしかできない事をやる、これに限ると思います。人生に役に立ちそうなものはなにかという事をよく考えて生活を送ってください。それと、時代が時代ですから英語の練習を怠らないほうが良いと思います。

演習(ゼミ)

演習テーマ:情報の経済学・政治学


 ゲーム理論、メカニズムデザイン、計量経済学を勉強する事を通じて、社会を分析する力と、自分の意見を効果的に伝える力を養いたいと思います。
 メカニズムデザインとは何かと言いますと、「ゲーム理論的な考え方に基づいた、制度設計の分析」だと考えてください.応用としては、例えば、Facebook, Yahoo 等のインターネットプラットフォーム上のキーワード広告のオークションの設計、研修医を病院にマッチングさせるルールの設計、コーポレートガバナンスの設計、お客さんからより多くお金をとるための販売戦略の設計等があります.

 このゼミの究極的な目的は、将来ゼミの学生が日本で働くのがナンセンスと感じて嫌になってしまった時に、海外に目をむけてみるための精神的なバリアーを低くすることです。そのために、以下のようなスタイルをとります。

  1. あまりオリジナルなことをやらないで、普通なことを学び、卒業時点での経済学の知識が欧米の大学生と同じような水準になることを目指します。ゲーム理論やメカニズムデザインを勉強する事の良い所は、コミットメント、ホールドアップ、モラルハザードなど、外国の方たちと社会経済問題について議論するときに使える手軽な社会分析のための用語、道具だてを与えてくれることです。
  2. 世の中が「ビッグデータ」とか「エビデンスベースに基づいた政策」とか、データデータとうるさく言うようになってきたのを受けて、データに基づいた因果推論がしっかりできるようになるための勉強もします。グループで論文を作成してもらって、うまくいったらインゼミで他の大学に出かけていきます。
  3. 二年次は英字新聞を読んでもらって、好きな記事を深堀して報告してもらいます。海外の新聞の面白さを知ってもらいます。
  4. 基本的に教員は座っていて、学生諸君に発表してもらうスタイルです。ゼミは、プレゼンテーションの練習の場と捉えていただければと思います。
  5. しかし、上記の内容はゼミ生達の希望で変えていただいても結構です。
2年次演習

ゲーム理論の講義(中級ミクロ経済学2)が始まるのが三年次からですので、二年次では、実証経済学の勉強をします.田中隆一著の「計量経済学の第一歩」をみんなで勉強しようと思っています。
教科書を読むだけでは面白くないので、並行して各学生に、Economist, Japan Times, New York Times, Wall Street Journal, Financial Times などの英字新聞から、広い意味で経済学と関連する最近の記事を選んでもらい、記事の内容と関連事実を自分の意見などをまじえて発表してもらいます。発表者にはパワーポイントで発表のスライドを用意してもらいます。


[履修条件]

3年次演習

ゲーム理論あるいはメカニズムデザインのテキストブック(例えば、伊藤、小林、宮原著「組織の経済学」、Gullaume Haeringer著 「Market Design」) を読んでいきたいと思います。
また、グループにわかれてもらって、二年次に学んだ実証経済学の知識に基づいて専門の論文も読んでもらい、それを参考にグループ論文に取り組んでもらおうと思います。


[履修条件]

卒業研究

卒業論文では、演習の中で学んだ分析手法(ゲーム理論、メカニズムデザイン、計量経済学)を、自分が興味を持っている社会経済問題に応用してもらいます。これらの分析手法の応用範囲はものすごく広いので、自分で問題を発見するいい機会になると思います。

大学院進学希望者には、僕の専門の、シグナリングゲームとコミュニケーションのゲームを伝授します。


[履修条件]

関連する科目

既修・併修を強く勧める科目
  • 中級ミクロ経済学1、2
  • 中級マクロ経済学1、2
既修・併修が望ましい科目
履修を勧める3年次演習関連科目

関連する演習

学生による「私のゼミ紹介」