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古賀 康士

専任教員紹介

古賀 康士 KOGA Yasushi

私の主な専門分野は、近世日本の経済史です。経済史というと、経済学と歴史学の2つの領域にまたがる専門分野になりますが、私自身は歴史学を学ぶなかで、歴史のなかにおける共同体と市場システムのあり方といった問題に関心を持ち、だんだんと経済史の領域に足を踏み入れるようになりました。

共同体と市場システムというと、「市場システムの浸透による共同体の解体」といった歴史的な見取り図がよく持ち出されます。しかし、歴史資料を実際に分析してみると、市場システムを共同体が支えるという両者の補完的な関係もしばしば確認されます。たとえば、江戸時代は人びとの日常的なレベルにまで貨幣経済が浸透した時代で、現代社会と同じように貨幣の気まぐれが引き起こす経済現象に人びとは翻弄されていましたが、その一方で、共同体的なつながりを背景にしながら、自分たちで安定的な貨幣を創り出したり、貨幣の変動を制御するなどの動きも認められます。

イギリスの歴史家のE・H・カーは、歴史学には「二重の働き」があると指摘しています。すなわち、歴史学によって、人は過去の社会を理解できるようになり、そして現在の社会に対する制御力を増大させることができる、というものです(カー『新版 歴史とは何か』岩波書店、2022年、86頁)。市場システムがあらゆる領域に浸透し、人びとのつながりが希薄化していくのが現代という時代です。この現代の社会と経済のあり方を再考するヒントが歴史にあるのではないかと私は考えています。

学生へのメッセージ

主体的に学ぶ姿勢を身につけ、大学で有意義な時間を過ごしてください。

演習(ゼミ)

演習テーマ:歴史から社会と経済のしくみを考える—日本列島の経済史を中心にして


 歴史はしばしば「かがみ(鏡)」にたとえられます。鏡のなかに自分の顔かたちの客観的な姿を見るように、私たちは、歴史という鏡を通じて、現代の社会と経済がどのように生まれ、形作られたのかを知ることができます。歴史からものごとを考える——こうした歴史的な視座は、複雑化した社会と経済を相対化し、その構造とシステムをよりよく理解するための有効なアプローチの一つといえます。
 この演習(ゼミ)では、こうした考えにもとづき、歴史から社会と経済のしくみを考えていきます。研究対象は日本列島の経済史を中心としますが、他の地域の歴史や関係する学問領域の研究も積極的に取り上げます。演習(ゼミ)の参加者は、主に日本経済史の研究に学びながら、学問的に読み・考え・発表する能力を身につけ、卒業論文の執筆にむけて、自分なりの問いとテーマを探していくことになります。
 なお、演習(ゼミ)は、基本的に参加者の報告とそれにもとづくディスカッションによって進めていきます。また、大学のなかでの座学だけでなく、歴史に関わる地域への巡見・フィールドワークなども実施したいと考えています。

2年次演習

2年次演習(ゼミ)では、専門的なテキストの輪読を通じて、経済史を始めとする社会科学を学ぶための基礎的な能力を身につけます。講読テキストは、ゼミの参加者と教員の興味・関心にもとづき選定します。ゼミの参加人数によっては、グループワークを実施することがあります。


[履修条件]
特になし。

3年次演習

3年次演習(ゼミ)は、グループないし個人の研究発表を中心に進めていきます。関心のあるテーマについて、(1)先行研究を読み解き、(2)適切な問いを立て、(3)資料収集・分析を通じて課題を解決する、という学術的な研究発表の基本を実践的に学びます。これを通じて参加者は、4年次の卒業論文の執筆に向けて、自ら研究テーマを組み立て、具体的な調査・研究計画が立てられるようになることを目指します。


[履修条件]
特になし。

卒業研究

この演習(ゼミ)では、卒業論文の執筆に向けた研究報告を中心に行います。参加者は、随時、自らの調査・研究の経過報告を行い、演習(ゼミ)における討論を通じて、研究内容を改善・発展させていきます。卒業論文の執筆を通じて、学術的に問い・考え・伝える能力の獲得を目指します。


[履修条件]
特になし。

関連する科目

既修・併修を強く勧める科目
既修・併修が望ましい科目

関連する演習

学生による「私のゼミ紹介」