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菅 一城

専任教員紹介

菅 一城 SUGE Ikki

菅 一城
研究テーマ 近現代イギリス社会経済史・都市史
研究室 良心館562号室
演習(ゼミ)紹介 知識・制度・成長――ヨーロッパの視点から見る経済・社会――
詳細 研究者データベース(オリジナルサイト)

僕は、おもに1950-60年代イギリスのニュータウン開発を通じて、都市生活が一国あるいは世界の歴史的変化とどのような関係をもっていたのか研究してきました。少なからぬ数の歴史研究が、特定の国を対象とし、一般の読者に向けて書かれた歴史書の多くが一国の歴史を扱っています。他方、僕が訓練を受けてきた都市史は、1つの町が経験した社会・経済・政治的変化に注目して、一国史では捉えられなかった歴史的変化を明らかにし、歴史の全体像を塗り替えてきた分野です。

その都市研究も現代史では十分な成果を出していません。ひとびとの行動半径が広がって1つの町を超えて日常生活が営まれるようになったので、都市史研究は役に立たないという意見もあります。しかし、多くのひとがある1つの町に定住し、そこから近隣あるいは遠隔の町に出かけていることからわかるように、都市は現在でも生活そして経済活動の舞台です。そこで、複数の都市の関係や都市圏の形成を歴史的に明らかにすることが研究課題になります。これは、それぞれ自治体だけでなく中央政府にとっても重要な問題であり、誰が都市や都市圏を統治し、どのような軋轢が生じたのかも重要な課題です。都市圏の拡大は、物理的な都市空間の拡大という一面もあります。また、このような都市形態の変化は、その都市あるいは都市社会全般のイメージをも変化させます。このように、1つの町の歴史から現代の都市社会のさまざまな特徴を捉える作業をしています。

これからはニュータウンだけでなく、新たな事例も研究対象に加えていきたいと考えています。最近は19世紀後半に製鉄業で栄えたマーサー・ティドヴィルというウェールズの都市の史料を読んでいます。

学生へのメッセージ

経済学部はなにを勉強するところなのか、わかりにくいかもしれませんが、実は少し頭を切り替えるだけでいろいろなことが研究対象になる学部です。研究課題を自分で見出していくのは大事なことでもあります。皆さんにお会いするのを楽しみにしています。

演習(ゼミ)

演習テーマ:知識・制度・成長――ヨーロッパの視点から見る経済・社会――


この演習では、履修者各自が設定した研究課題について、2年半をかけて、卒業論文を作成するために、研究・執筆過程を報告し、ほかの履修者や担当者と意見を交換します。

課題は、担当者と相談のうえ、履修者が自主的かつ自由に設定します。履修を希望する者は、何らかの研究課題の構想をもっていること、積極的にほかの履修者の意見を求め、ほかの履修者の報告について発言することが求められます。担当者の専門は近現代イギリス社会経済史ですが、履修者の研究対象はイギリスあるいはヨーロッパに限りません。各自が関心をもつ具体的な時代・国・問題の例に即しながら、どのような知識や技術、経済・社会の仕組みがその経済・社会の発展を促すのか考えます。これは、「すぐに役立つ」ことではありませんが、「すぐに役に立たなくなる」知識よりも歴史を経て続く研究関心を共有することを目的とします。

2年半で適切な課題を見つけ、自分なりの結論を導き、論文のかたちにまとめるのは大変な作業です。ですから、それまでに履修した講義や担当者の専門分野にとらわれず、自分の関心に基づいて自主的に取り組むことのできる研究課題であることを重視します。また、履修を希望する時点で何らかの課題やその参考文献についての最低限の知識、自分なりの構想やイメージを示すことができる者を優先します。ただし、担当者が異なる課題を検討するよう求めること、あるいは履修者が担当者と相談して柔軟に課題を変更することもあります。

担当者の専門であるヨーロッパに限るわけではありませんが、日本ではなく、外国を研究対象とする人の履修を優先します。

これまで指導した課題の一部を紹介します。担当者の専門に近いものではイギリスのEU離脱、ドイツの労働政策、フランスのファッション産業、スペインの観光政策、スウェーデンの福祉国家、ユーゴスラヴィア・ウクライナ・クルドの国際紛争など。ヨーロッパ以外でも、アメリカのエネルギー戦略・環境問題・医療格差、中国・韓国・フィリピン・インドなどの発展と格差、また都市政策、路上生活者や核兵器戦略などの国際比較です。担当者が都市史を専門とするので都市や地域の課題も多いです。地域格差や地域活性化を中心に農業・地場産業・図書館の再生、空き家問題など。その時々の社会的な課題について論文を書く人もいます。環境問題、格差社会、少子化、保育・幼児教育、男女格差、若者の自立、障害者問題、食生活、製品の安全性、模倣品、電子マネーなど。自由に課題を提案するとともに、その社会的な意義を説明できることを求めます。

2年次演習

担当者の専門であるヨーロッパに限るわけではありませんが、日本ではなく、外国を研究対象とする人の履修を優先します。初回の演習で履修者と相談のうえ、次のいずれかのかたちで演習をすすめます。

  1. 履修者の研究課題について個別報告と討論をおこなう
  2. 履修者各自の関心に基づき、英文の雑誌記事などを紹介し、報告・討論をおこなう
  3. 担当者が用意する英文の論考から履修者がテキストを選び、輪読・討論をおこなう

[履修条件]

3年次演習

3年次演習1


この演習から履修を希望する場合、2年次演習の履修の有無や履修した2年次演習によって履修を制限することはありませんが、希望する研究課題について、ある程度の知識と自分なりの研究構想を示すことを求めます。

初回の演習で履修者と相談のうえ、次のいずれかのかたちで演習をすすめます。

  1. 履修者の研究課題について個別報告と討論をおこなう
  2. 履修者各自の関心に基づき、英文の雑誌記事などを紹介し、報告・討論をおこなう

[履修条件]

3年次演習2


この演習から履修を希望する場合、3年次演習の履修の有無や履修した3年次演習によって履修を制限することはありませんが、希望する研究課題について、ある程度の知識と自分なりの研究構想を示すことを求めます。

演習では、履修者の研究課題について個別報告と討論をおこないます。


[履修条件]

卒業研究

この演習から履修を希望する場合、3年次演習の履修の有無や履修した3年次演習(サブジェクト演習)によって履修を制限することはありませんが、希望する研究課題について、ある程度の知識と自分なりの研究構想を示すことを求めます。

演習では、履修者の研究課題について個別報告と討論をおこないます。


[履修条件]

関連する科目

既修・併修を強く勧める科目
  • ヨーロッパ経済
  • 世界経済史
既修・併修が望ましい科目

関連する演習

学生による「私のゼミ紹介」

私たちのゼミの特徴は「自分の好きな分野を深めること」ができる所です。2年半じっくり時間をかけて卒論を進めていきます。菅先生はヨーロッパ経済専門でありながら、幅広い知識を持っていらっしゃるので、それぞれの研究内容に優しく親身に寄り添ってくださり、円滑に研究を進めることができます。さらに、毎週順に進捗した内容を発表していきます。そのため他の人の研究内容も知ることができるので、幅広い知識を付けることができます。菅ゼミは、自由に好きな研究をしたい人に最適だと思います。

鈴木翔子