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和田 喜彦

専任教員紹介

和田 喜彦 WADA Yoshihiko

和田 喜彦
研究テーマ エコロジー経済学、鉱山・核開発の環境影響
研究室 良心館365号室
演習(ゼミ)紹介 エコロジー経済学の基礎:経済至上主義から命を育む経済へ
HP Wada Yoshihiko's Homepage(オリジナルサイト)
詳細 研究者データベース(オリジナルサイト)

私の専門分野は、エコロジー経済学です。これは、経済学と生態学や熱力学などの自然科学の研究成果を統合しようとする学問分野です。エコロジー経済学のおもしろいところは、45億年の地球の歴史の中で育まれた自然の摂理をよく理解し、それに人間経済システムが適合できるように工夫するところです。たとえば、サケが川を溯上することで海の栄養分が山林に運ばれ、森林資源を豊かにしてきたことが最近の研究で分かってきました。この結果を受けて、アメリカではサケが溯上できる河川に戻すためにダムを撤去し始めました。私たち人類は伝統的に、自然界の循環の仕組みや原理を上手に利用しながら社会経済システムを築き上げてきたはずでした(里山やコモンズなどがその好例)。最近では自然の摂理をないがしろにしすぎたため、自然資本の劣化が進んだり、かけがえのない命が奪われるなどの問題があちこちで発生しています。また、自然界が処理できないような新しい物質を産み出し、将来世代に負担を押し付けています。水俣病の有機水銀やベトナムでのオレンジ剤(枯葉剤)、劣化ウラン弾などがその典型です。私は、これらの環境問題を考える際には、実際に現場(フィールド)に足を運び、被害者の立場に立ちつつ、問題を起こした側の根本原因や、それらを放置した政府や社会のあり方に鋭い目を向けるという姿勢を身に付けることが重要であると考えています。

私の専門分野のひとつに、エコロジカル・フットプリント分析があります。これは、経済活動の規模が環境の再生処理能力を超えていないかを判定することで、経済が永続的で環境共生型であるかを判断する手法です。この手法は欧米を中心に環境教育や政策評価に広く採用されつつありますが、アジア、特に日本での普及を目指したいと思います。

戦争と環境の問題にも着目しています。一例ですが、コソボ紛争やイラク戦争で米英軍が使用した劣化ウラン弾(前出)の人体や環境への影響は甚大です。劣化ウランは核燃料サイクルの過程で産み出される放射性廃棄物ですが、自然界が処理することができない毒性を持っています。ところで、日本の前外務大臣は、劣化ウランは人体に影響を与えるという証拠は無いと公言しましたが、これは多くの研究結果と食い違っています。自然界の原理や科学的事実に反する認識を基礎にして日本の政策が決定される事態をどう改めていくか、その方法を考えることも重要であると思っています。

学生へのメッセージ

経済のグローバル化、環境問題、格差拡大、暴力の連鎖など様々な問題が深刻化する今日、政府や国際機関など公的機関の「機能不全」が目立っています。そこで、市民たちが非政府組織(NGO)をつくり、これらの問題を解決するために、「地の塩・世の光」として活躍しています。また企業の中にも、利益だけを追い求めるのではなく、社会貢献のための行動を起こすところが次第に増えつつあります。皆さんにもこのような潮流の最先端で活躍してほしいと思います。明確な目標を持ち、果敢に挑戦し続け、初志貫徹してください。

演習(ゼミ)

演習テーマ:エコロジー経済学の基礎:経済至上主義から命を育む経済へ


当ゼミでは、エコロジー経済学の立場から、公正で持続可能な経済のあり方を追求する。

経済成長はメリットとデメリットの両面をもたらす。従来メリットばかりが強調されるきらいがあったが、このゼミでは負の側面を中心に経済成長を捉える。公害や資源枯渇などの問題が発生する根本原因、問題の拡大を防げないで被害者が増えていく原因を研究する。地球温暖化対策として宣伝される原子力エネルギーやバイオ燃料の問題、さらには戦争・軍事と環境といった問題も視野に入れる。

さらに、エコロジー経済学の基本を学び、現行の経済システムに代替するオールタナティブな経済のあり方を模索する。具体的な内容は、[1]経済至上主義とは、[2]自然資本の価値、[3]環境収容力、[4]生態系サービス供給量と人間経済による生態系サービス需要量のバランス関係を測定するエコロジカル・フットプリント指標、[5]真の進歩指標(GPI)など。

土日に里山などのフィールドに出かけることもある。英語の資料を使用することもある。

2年次演習


[履修条件]
「環境と資源」を履修済み

3年次演習

3年次演習1



[履修条件]
「環境と資源」を履修済み
「エコロジー経済」を履修予定の者が望ましい

3年次演習2



[履修条件]
担当者の「3年次演習1」を優秀な成績でパスした者
「エコロジー経済」を履修予定の者が望ましい

卒業研究


[履修条件]
担当者の「3年次演習2」を優秀な成績でパスした者
「エコロジー経済」を履修済みの者が望ましい

関連する科目

既修・併修を強く勧める科目
  • エコロジー経済1・2
  • 環境と資源
  • エネルギー経済
  • 里山保全の実践経済学1・2
既修・併修が望ましい科目
  • エコノミクス・ワークショップ(非営利組織と非政府組織1・2)

関連する演習

学生による「私のゼミ紹介」