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横井 和彦

専任教員紹介

横井 和彦 YOKOI Kazuhiko

横井 和彦
研究テーマ 経済の「グローバル化」と中国経済
研究室 良心館563号室
演習(ゼミ)紹介 経済の「グローバル化」と中国経済
詳細 研究者データベース(オリジナルサイト)

 日本の中国観は、国際情勢や経済状況をふまえて、大きく揺れ動いてきました。
 すなわち、ソ連の消滅(1991年)とそれに伴う米軍のフィリピン撤退(1992年)による「力の空白」に端を発する軍事的な意味から始まり、安価な中国製品の流入、生産拠点の中国移転による産業空洞化を懸念した経済的な意味へと変化した「中国脅威論」が、1978年の「改革・開放」以後では最初の中国観の変化でした。
 続いてアジア通貨(経済)危機(1997年)によって、さしもの経済発展著しい中国もやがて崩壊するだろうという「中国崩壊論」が台頭しました。しかし中国が「三大改革」で危機を乗り越えた一方、2002年から日本経済の景気回復が、「政冷経熱」とも呼ばれた日中間の投資・貿易の拡大によってもたらされると、「中国特需論」へと変化しました。
 そして中国が2010年に世界第2位の経済大国となり、さらに「一帯一路」や「中国製造2025」を打ち出すと、アメリカとの覇権争いが注目され、「中国異質論」がにわかに高まり、2018年には米中貿易「戦争」にいたります。そうしたなかで2021年発足の岸田内閣において「経済安全保障」を担当する閣僚ポストが新設されて「『中国依存』は大いなるリスク」などと喧伝されるようになりました。
 このような流れを踏まえて、私は、今日の中国をどのようにみるかについては、資本(=企業)や人が国と国との間を移動する、経済の「グローバル化」という視点が不可欠であり、一国を単位とした思考では問題を解決することができないどころか、複雑化させるだけであることを明らかにして今日の日本の中国観を正しい方向に導きたいと考えています。

学生へのメッセージ

諸君よ、もし理論をもって是非を判別せんと欲せば、決して難しきにあらざるなり。しかれども諸君よ、願わくばその理論に愛の油を注ぎ、もってこれを考えよ。(森中章光編『新島襄 片鱗集』より)

演習(ゼミ)

演習テーマ:経済のグローバル化と中国経済


 2018年3月にトランプ前アメリカ大統領が保護主義的な措置を打ち出した当時、それまで中国との間でなされていた貿易の構図が大きく変化し、世界貿易体制の再編が避けられないとの観測もありました。けれども、2022年11月3日に発表された同年9月のアメリカの貿易統計によると、22年1~9月のアメリカの輸入は18年の同時期と比べ33%増え、そのうち中国からの輸入は、減るどころか4年前と比べて6%増加しています。アメリカの輸入全体に占める中国からの輸入の割合は、18年の21%から22年は17%であり、4ポイント低下したにすぎないのです。
 さらに、対中関税の対象外の品目に限ってみると、中国からの輸入がアメリカの輸入全体に占める割合は関税導入時の36%から39%に上昇しています。さすがに関税率7.5%の品目については中国からの輸入の比率は24%から18%に、さらに25%という非常に高い関税が課されている多数のIT(情報技術)関連装置などは16%から10%に下がったとはいえ、あれほどの騒動であった割には実際の貿易パターンの変化は小さかったといえるでしょう。
 一方、22年1~9月の中国の輸入に占めるアメリカの割合も、18年の同時期と比べて2ポイント低下したにすぎません。
 しかし、近年の感染症の流行とそれに伴う景気の低迷、米中関係の悪化などから、これまで中国に進出していた多くの国の企業は、生産体制の見直しを迫られ、各国政府もそれを後押ししています。
 本演習では、サプライチェーンからみた世界経済の構図の変化を、中国経済のグローバル化に焦点を当てて検討します。

2年次演習

三橋貴明『中国不要論』(小学館新書)を手がかりに、既存の経済学の視点だけでは現在の中国経済を正確にとらえることができないことを学びます。
上海理工大学社会工作学部・徐栄ゼミとの交流を予定しています。


[履修条件]

3年次演習

春学期には田代秀敏『中国経済の真相』(中経出版)を手がかりに、筆者の言う「通説」と「真実」を検討しながら、既存の経済学の視点だけでは現在の中国経済を正確にとらえることができないことを学びます。
秋学期にはJapan Network of Virtual CompaniesのVC運営ガイドブックを手がかりに、対中ビジネスのバーチャル・カンパニーを立ち上げ、商品アイデア・企画書・資金計画・広告をまとめた仮想事業報告を名城大学経営学部・田中武憲ゼミとの合同ゼミとして行うことを目指します。


[履修条件]

卒業研究

中国経済に関するテーマで卒業研究をまとめようと考えている学生を対象とします。
春学期は、卒業研究のテーマを設定するための時事学習と論文の書き方を学びます。
秋学期は、卒業研究計画書の作成・発表(個人・グループ)と、それを発展させた中間報告(個人・グループ)を行い、卒業研究を執筆します。


[履修条件]

関連する科目

既修・併修を強く勧める科目
  • 経済学の歴史
  • 中国経済
  • 経済史
  • 中国経済史
既修・併修が望ましい科目
  • アジア経済
  • 政治経済学1・2
  • アジア経済史

関連する演習

学生による「私のゼミ紹介」

 中国経済を研究している横井ゼミには、中国出身、体育会所属、YouTubeチャンネルを持つ人、ラップをやる人など様々な面で多様なメンバーが属しています。正解は一つではないという価値観の下、卒業後の進路も多様です。各方面で活躍する先輩に進路を相談できたことは心強かったです。
 グループワークと発表を主とするゼミのスタイルでは自主性が尊重されます。進め方を口うるさく指導されることはありません。同志社精神の自由と責任が表れているのでしょうか。個性あふれるメンバーとのワークは刺激的でした。
 私たちは横井先生の人柄も大好きです。常に自分らしくいる横井和彦の存在は私たちも肩肘張らずに自分らしくいることができます。時折開催された食事会では先生含め本音で語り合ったことが楽しかったです。10年後に集まったときにメンバーがどうしているのか考えると楽しみです。
 コロナがなければ中国に行く計画もありました。

                                                   (谷口 匡)