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2021年度のレポート(三重県における南北問題に関して)

学生ケーザイレポート(2021年度)

三重県における南北問題に関して

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 私たちは、「三重県の南北問題について」というテーマで研究を行った。三重県は、南北におよそ180 ㎞、東西に約10~80 ㎞と、細長い形をしていることが特徴である。長年、三重県ではこの南北に長いという地理的要因に起因する「南北格差」が問題となっている。四日市市、鈴鹿市などが位置する北部地域は工業が盛んであり、名古屋経済圏にも含まれており、人口は県庁所在地である津市を上回る。一方、伊勢・志摩・鳥羽エリアや尾鷲市、熊野市などが位置する南部地域では、自然が豊かな地域であり、伊勢神宮や熊野古道といった歴史ある観光地も多数存在する。しかし、南部では北部と比較して高齢化、人口減少、所得格差などが大きな問題となっている。県はこれまで南部の活性化を目指し、様々な取り組みを行ってきたが、依然として南北格差の問題は深刻である。
 そこで、この格差を是正する手段として、点から点への移動を可能にする次世代モビリティ「eVTOL」(空飛ぶクルマ)による南部地域発展の可能性に着目した。実現は遠い未来のように感じるが、現在世界各国の自動車業界、航空業界、IT業界などから注目されており、各地で実証実験が行われている。日本でも大阪万博での活用に向けて官民が連携し、実現に向けて取り組んでいる。
 私たちは三重県の現状分析と課題抽出をおこない、さらに伊勢市へのフィールドワークを実施した。その結果、現時点で移動に2~3時間を要する名古屋-伊勢・志摩・鳥羽エリアのルートでの運航を提案するに至った。まずは富裕層をターゲットとすることで価格コストの課題をクリアし、さらに海上を飛行することで、徐々に県民の社会的受容性を高めることが出来ると考える。
 三重県は、産業構成や複数の地域課題が存在することから「日本の縮図」と呼ばれている。今回の研究で経験した地域の捉え方や課題解決の手法を、他の地域や日本全体にも当てはめ、今後も地域の在り方を考えていきたい。