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教員インタビュー

第2回~第4回は教員&高校生の座談会形式で開催。
経済学部の教員と高校生が語り合い、身近なテーマから経済学をひも解いていきます。
教員インタビュー

【第4回】インタビュー実施日/2014年11月5日

横井先生と学生

■ 経済学的視点で中国を考える

横井:
僕は中国経済を担当していますので、今日はみなさんといっしょに経済学的な視点で中国の経済活動について考えてみたいと思います。みなさんは、中国に対してどんなイメージを持っていますか?

西川:
僕はサッカーの合宿で中国に行ったことがあります。周囲からは「危険なのではないか」と言われたのですが、一対一で出会えばみんないい人。経済とは関係ないかもしれませんが、国より人を見ることが大事だと思いました。
インタビュー1
河野:
私の父や祖父は中国関連のニュースを見て悪い印象を抱いているようです。でも私には中国人の友人がいて父たちとは同じようには思っていません。

高木:
中国では経済格差がひどいと言われているので、国の政策に問題があるのでは?というイメージがあります。

横井:
一人ひとりとは良い関係が結べるけれど、国に対しては悪いイメージがあるということですね。経済学は論理性を重視する学問。「中国が持つ悪いイメージ」をデータで実証することが求められます。

みなさんがふだん触れている中国は、日常生活で使っている「Made in China」のものだと思います。まずは、中国と日本の輸出入に関するデータを見てみましょう。

■中国産=危険ってホント?

横井:
「貿易相手国上位10カ国の推移(財務省貿易統計)」を見ると、2007年以降は中国が一位です。

藤尾:
予想以上に中国からの輸入が多いので驚きました。身の回りから中国製品がなくなったらどうなるのかと考えるとちょっと怖いですね。

西川:
2007年以前はどの国が一位だったのですか?
インタビュー2
横井:
アメリカですね。次いで、韓国、台湾が多かったのですが、徐々に中国との輸出入が増えていきました。ところが、2008年にJTの子会社などが輸入した中国産の冷凍餃子から有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が検出されて下痢などの症状を訴える人が出たり、中国製乳製品に有害物質メラミンが混入していて乳児14人が被害を受けるという痛ましい事件がありました。これらの事件が起きたのは貿易相手国一位になった翌年のこと。「中国産は危ない」というイメージを与える原因になっているかもしれません。

では、「本当に、中国産の食品は危険なのか?」を経済学的な視点で見てみましょう。
表
横井:
「生産・製造国別の届け出・検査違反状況(平成24年度輸入食品監視統計/厚生労働省)」というデータを見ると、たしかに「違反件数」は中国が221件とトップですが「違反率」は0.22%。一方、アメリカの違反率は0.81%で中国の約4倍もあります。

河野:
アメリカに対してはあまり悪いイメージはないので、意外です。

横井:
「違反件数」を見て、中国製品は危険だと考えるのは間違いではない。けれども「輸出入届出件数」「検査件数」も見てみると、中国の件数が圧倒的に多いことがわかります。経済学的な視点では、「数が多いか少ないか」だけではなく「比率」も考えて判断します。たとえば、この場合は「中国と日本の経済的な結びつきが非常に深く、その結果として違反件数も多くみえる」と考えるべきなんですね。

さらに衝撃的なのは、国産品の「違反件数」「違反率」が輸入品よりも高いこと。データで見ると、「国産だから安心」「輸入品だから危険」と一概には言えないわけです。このように、イメージだけでなく客観的なデータを使って自分の考えを組み立て、相手を説得する方法を考えるのが経済学なのです。

■ 客観的データで見る日中関係

横井:
今や中国は世界第二位の経済大国ですが、内実としては外国企業が経済の半分を支えています。たとえば、中国の輸出項目で最も多い機械や輸送設備の半分は外国企業が生産しているんです。

日本にあふれている「Made in China」の食品や衣料品も、実は生産しているのは日本企業であることが多いです。つまり、「中国から輸入されていても、日本企業が自国に輸出するために作っているものなのだから安全性に問題はない」という考え方もできるわけです。
教員インタビュー
藤尾:
これほど中国は身近な国なのに、悪い印象を持っているのはいいことではありませんね。印象の問題を解決するために、日中の関係を数字で見直すのはとてもわかりやすいなと思いました。

西川:
主観だけでなく、客観的なデータを分析することで、何が本当に正しいのかが見えてくるんですね。経済学部で学べば、ものごとを俯瞰して見ることができそうです。

横井:
そうですね。今や中国は世界中の国と経済関係を結んでいます。経済活動のつながりが深まるほど、国際関係を安定させることが必要になりますから、中国自らが変化してくる可能性があります。

日中関係においても、両国ともに「今後は関係改善してほしい」と思っています。日中の経済関係の深さや客観的なデータを知って、中国へのイメージを変えてもらえたらいいなと思っています。

藤尾:
こうして、僕たちが客観的なデータをもとに正しい情報を持てば、少しずつ両国の関係は良くなると思います。これからもっと正しい情報を知らなければいけないと思いました。

高木:
違反率のデータなどで見ると中国は悪くないけれど、マスコミの報道などによって植え付けられたイメージの強さも実感しました。事実を明らかにするためには、正しい情報をしっかり知る必要があると思いました。

河野:
大学では、ものごとを批判的に考えることが求められるんですね。
横井:
そうですね。興味・関心を持ってものごとを追いかけることが世界を広げていくカギになります。正解を得ておしまいにするのではなく、「ほんとうにそうなんだろうか」と考えられるなら立派な大学生になれると思います。

経済学では「この数字はどうなのか」「どう読むのか」を自分で判断して、その見方に合理性があれば人にも納得してもらえます。経済学は、非常に面白い学問だと思いますよ。
インタビュー4
colum
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