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教員の現代経済ウォッチング

Vol.14 いま、求められている力

かつては「日本的雇用慣行」や「日本型企業システム」などの言葉が日本経済の成功の鍵としてよく取り上げられたものでした。しかし、時代が移ろい、こうした慣行やシステムは現状にそぐわなくなってきたと言われています。

先月公表された『経済財政白書』は経済の成長のために企業は積極的にリスクに立ち向かうべきだと論じています。日本型企業システムに関する数量分析では、その脆弱性が指摘され、安定株主やメインバンク依存とともに伝統的な日本型企業の特性である長期雇用のもとではリスク回避的になっていることが示されています。低成長の難局を乗り切るためには、リスクを恐れず変化に対応できる柔軟性やチャレンジ精神をもつことが重要であるというわけです。
竹廣 良司

竹廣 良司

日本の大企業は株主や銀行、取引先、従業員などとの間に長期的な安定関係を構築することで独自性を育み、ブランドに代表される差別化を果たし、優位な競争を展開してきました。しかし、経済環境の変化の中で企業はこうした関係を短期的で希薄なものにせざるを得なくなりました。一方、人々も見通しのきかない社会の中で、短期的で狭い視野で目標を設定し行動することに慣れてしまいました。

同じく先月公表された『労働経済白書』は働き方が変化する中で将来に不安を抱える労働者が増えていることを背景として、長期雇用など従来の慣行に対する評価が高まっており、雇用の点からは企業組織との一体感や、就職した企業での継続的、計画的な能力形成が評価されているとの見方を示しています。しかし、雇用不安の解消に長期雇用が有効であっても、それによって企業が競争力を失い、成長が妨げられるならば問題解決とは言えません。長期雇用が企業の必要とする能力形成に役立つ仕組みでなければなりません。

『労働経済白書』は企業で働く若年正社員に対し、職業意識・勤労意欲、チャレンジ精神・向上心、マナー・社会常識・一般教養、コミュニケーション能力が求められていることにも言及しています。これらの能力は短期的で希薄な関係の中では培われることがなかったものなのかもしれません。しかし将来を支える若者にこうした力が備わっていなければ国際的な競争の中で企業が成長を遂げることなど不可能でしょう。

経済産業省は社会人として必要な基礎力として「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」を企業が求めていることをアピールしています。若者がこうした力を身につけるためには、若者自身の主体的な取り組みと企業や社会の支援が必要です。社会との接点に位置する大学にも期待が寄せられるようになっています。

こうした力を鍛えるのに、本学でも積極的に取り入れているようなプロジェクト型教育が有効であると指摘されています。設定されたゴールに向かってチームとして取り組み、悩み、考えながら、チームメンバーとの関係を学び、それぞれの役割を果たすことでこうした力を伸ばすことができます。大学で主体的に学ぶことで、皆さんの視野が拡がり、知識や教養とともに、生き抜く力が育まれ、社会で活かされることを期待しています。

竹廣 良司竹廣 良司
専任教員紹介
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