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教員の現代経済ウォッチング

Vol.18 ノーベル経済学賞のはなし

毎年12月10日は、ノーベル賞の授与式が行われる日です。今年は日本人の受賞者もありますので、ストックホルム(平和賞はオスロ)で午後4時半(日本時間では12月11日午前0時半)から行われる授与式の様子をテレビなどでご覧になる方も少なくないと思います。

今回の受賞者を含めて、これまでに789人の個人と20の組織がノーベル賞を授与されています。このうち日本人(受賞時の国籍)の受賞者は、物理学賞6人、化学賞5人、生理学・医学賞1人、文学賞2人、平和賞1人の計15人で、日本は世界で8番目に受賞者数の多い国となっています。残念ながら、経済学賞を受賞した日本人はまだいません。

では、皆さんがノーベル経済学賞の受賞者として最初に思いつくのは誰でしょうか?今年の受賞者である米国プリンストン大学のポール・クルーグマン教授(Prof. Paul Krugman)と答えてくださる方も多いと思いますが、より馴染みがあるのは、シルビア・ナサー氏(Ms. Sylvia Nasar)のベストセラー「ビューティフル・マインド」(” A Beautiful Mind”, 1998年出版, 2001年映画化)の主人公、米国プリンストン大学のジョン・フォーブ・ナッシュ教授(Prof. John Forbes Nash Jr., 1994年受賞)かもしれません。

ご存じのとおりノーベル賞は、ダイナマイトの発明で富を築いたアルフレッド・ノーベル氏(Mr. Alfred Nobel)の遺言によって1901年から授与されているものです。しかしその遺言にしめされた授賞部門は、物理学、化学、生理学・医学、文学、平和の5部門で、そこには経済学は含まれていません。実は一般に「ノーベル経済学賞」(The Nobel Prize in Economics)だと認識されている賞は、1968年にスウェーデン中央銀行が同行の創立300周年を記念して創設したもので、その正式名称は「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン中央銀行賞」(The Sveriges Riksbank Prize in Economic Sciences in Memory of Alfred Nobel)となっています。しばしば耳にする「経済学賞はノーベル賞ではない。」という主張にはれっきとした根拠があるわけです。

しかしながら、経済学賞の選考は,スウェーデン王立科学アカデミーによって物理学賞や化学賞とまったく同様の方法で行われていますし、賞金や賞品なども他の賞と同等ですから、賞の重みに違いはありません。また、経済のルーツである「経世済民」は、「人類にとって偉大な貢献をしたものを称える」というノーベル賞の趣旨に通じるものがあります。このように考えると、経済学賞は社会科学の分野を対象とする唯一の賞として、ノーベル賞に欠くことのできないものだといえるのではないでしょうか。近年は選考委員に経済学以外の分野を専門とするメンバーが含まれるケースも多くなり、経済学だけでなく、経営学、商学、法学など、社会科学の分野全般をカバーする賞へと進化しつつあります。

本稿執筆時に参考にしたノーベル財団のホームページ(http://nobelprize.org/)には、ここで紹介したもの以外にも、ノーベル賞に関するさまざまな情報が掲載されています。興味を持たれた方は、ぜひ一度ご覧になってください。

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