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教員の現代経済ウォッチング

Vol.2 経済学って、役に立つの?

1回目の「経済学って、何をやるの?」を受けて、今度は「経済学は役に立つのか?」について考えてみましょう。私はアジア経済を専門に研究を行ってきました。なぜそのような研究テーマを選んだのかというと、「貧困問題の解決に貢献したい」という気持ちがあったからです。従って、私の研究テーマは、発展途上国の貧困問題を解消することを通じて、人々の幸福度を高めることを目的としており、まさに「役に立つ」経済学を目指しています。

1回目のお話の中でも触れられていたアダム・スミスは1776年にいわゆる『国富論』を発表しました。同書は、その原題『諸国民の富の本質と原因の探求』が示しているように、当時の英国における富(あるいは所得)を最大化するための方策を論じています。つまり、スミスの問題関心は極めて役に立つ学問を志向していました。皆さんが経済学部で学ぶ学問も、究極的には「人々を幸せにするための学問」なのです。
上田 曜子

上田 曜子

私が研究をしているアジア地域には経済発展の優等生と呼ばれる国(経済)が多く存在します。それらの国(経済)の歴史を振り返ってみると、経済発展を促進するための政策としていくつかの共通点が浮かび上がってきます。たとえば、保護貿易をやめて工業製品の輸出を振興すること、先進国などの企業を積極的に誘致して技術移転を図ること、経済発展の初期段階では労働集約的な工業を育成して雇用を拡大することなどです。

貧しい国も、これらの政策を導入していけば、ある程度経済を発展させることが可能になるはずです。しかしながら、世界には深刻な貧困から抜け出すことが出来ない国がたくさんあります。なぜでしょうか。この点については、経済以外の要因が大きく影響しています。たとえば国民の幸せを考えない独裁政権の下では、その国は経済発展を軌道に乗せることは困難です。大規模な内戦や戦争が発生していれば、経済発展という目標を追及することは出来なくなります。

このように、経済学では「人々を幸せにする」ための方策について研究を進めています。その実現を妨げているのは、例えば政治的な要因なのです。アダム・スミス以来、経済学は「役に立つ学問」を目指してきたといっていいでしょう。

皆さんの中で、華麗な数式やグラフを駆使した経済学の講義を受けた時に「経済学って本当に役に立つの?」と疑問を感じる人は多いはずです。そんな時は、この話を思い出して勉強を続けて欲しいものです。

上田 曜子上田 曜子
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