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教員の現代経済ウォッチング

Vol.22 大学への進学は自分に対する投資です。

経済学では、教育を人間に対する「投資」としてとらえます。なぜなら教育は企業が行う投資と良く似ているからです。すなわち、企業は新しい工場や機械を購入するために投資をします。それは、そうした投資によって生産能力を拡大し、将来得られる利益を増やすためです。皆さんが大学に進学するのも自分に対する投資です。なぜなら大学へ進学することによって知識や能力が高まり、高卒で就職するよりも将来の所得が増えるからです。

ちなみに、平成19年版の「賃金構造基本統計調査」を使って計算すると、大企業の大卒男子の生涯所得の平均が3億1,200万円に対して、高卒男子の生涯所得は2億5,600万円で、大学への進学によって高卒男子よりも生涯所得が5,600万円ほど増えることになります。
馬場 浩也

馬場 浩也

しかし、投資には費用がかかります。たとえば同志社大学経済学部の場合は、入学金と授業料で4年間で約400万円の費用がかかります。また、書籍代、交通費、教養娯楽費、食費、住居費などを加えると、下宿生の場合は4年間で約600万円かかり、合計で約1,000万円の費用がかかります。しかし、大学進学の費用はこれだけではありません。なぜなら、大学進学には「機会費用(放棄所得)」と呼ばれる隠れた費用がかかるからです。すなわち大学に4年間進学するには、その間に高卒で就職すれば得られたはずの所得を放棄しなければなりません。現在の新規高卒男子の平均年収は約200万円ですから4年間で約800万円となり、これらを全て加えると大学へ進学するには約2,000万円の費用がかかります。

このように見ると、大学へ進学するには大きな費用がかかることがわかるでしょう。それにもかかわらず、なぜ皆さんは大学への進学を希望するのでしょうか?その理由は、皆さんは大学への進学にかかる投資の費用が「0」だと思っているからです。なぜなら、現在の日本では大学進学にかかる費用のほとんどは親が払うからです。また、大学に進学するのが「あたりまえ」と思っている皆さんは、上に述べた「機会費用(放棄所得)」や、これまで親が「学習塾」などに支払ってくれた莫大な費用のことを考えたこともないでしょう。

現在の日本では大学進学率が上昇する中で、折角大学に進学しても勉強も努力もせず、4年間を無駄に過ごす学生が増えています。それは2,000万円の入場料を支払って4年間「ディズ二ーランド」で遊ぶのと同じです。しかし、大学の4年間は皆さんの努力次第で非常に大きな報酬を与えてくれる「投資」にもなります。私のゼミの卒業生で皆さんの先輩の中には、自分で起業して社長になったり、在学中に公認会計士の資格を取得したり、米国の有名大学の助教授になった学生などが何人もいます。どちらを選ぶかは皆さん次第です。

馬場 浩也馬場 浩也
同志社大学経済学部 名誉教授
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