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教員の現代経済ウォッチング

Vol.30 政府の「経済見通し」

みなさんは明日の天気を知りたいときにどうしますか?多くの人はテレビや新聞、インターネットの天気予報をみるでしょう。天気予報は、1995年まで国の機関である気象庁が発表するものに限られていました。いまでは気象予報士という国家資格を持った人が多少独自の見方を加えて予想しますが、それでも気象庁の発表するデータに基づいており、大差はありません。

それでは、みなさんが今後の経済情勢を知りたいときはどうするでしょうか。就職活動や社会に出て自分の仕事や財産の管理のために「経済がこの先どうなるのか」、を知りたいときは誰にでもあるはずです。経済予測は、天気予報と違って自由に発表することができ、実際に多くの研究機関やシンクタンク、エコノミストなどが発表しています。政府も毎年12月になると、翌年の「経済見通し」を発表し、経済成長率やインフレ率が何パーセントになるかを公表しています。
北坂 真一

北坂 真一

こうして発表される経済予測は天気予報と異なり、発表する機関によって大きなばらつきがあります。経済現象に対する私たちの理解はまだまだ不十分で、気象現象以上に解らないことが多い、と言えるかもしれません。

例えば、日本経済新聞がお正月に掲載した企業経営者20人の経済見通しでは、2010年度の経済成長率はプラス1.5%からマイナス成長まで大きく分かれています。予測に大きな違いがあってどこを信用してよいか分からないとき、政府の「経済見通し」を参考にする人も多いでしょう。2010年の政府の「経済見通し」は1.4%成長と強気です。

しかし、政府の見通しは純粋な経済予測と異なり、予測とは直接関係のない多くの要因に左右されます。例えば、政府の「経済見通し」は国の予算策定の前提条件に用いられるので、財務省など官庁の意向が反映されます。本当は不況で税収の減少が予想されるのに、官庁の予算を減らしたくないので高めの経済成長の予測値を公表することが考えられます。実際、日本経済は過去に何度もマイナス成長を記録しましたが、「政府見通し」でマイナス成長が発表されたことは一度もありません。

また、政府の予想が人々の経済活動に及ぼす影響を考えて、政府が悲観的な見方を発表できない、という考え方もあるでしょう。さらに、政府は経済成長がマイナスになるのを避けるために財政金融政策など様々な政策手段を用いるので、その効果を信じるのは当然だ、とする見方もあるでしょう。

こうした政府の「経済見通し」について、私は次の論文でその問題や改善の方向を論じています。興味のある人は、ぜひ読んでみてください。

北坂真一(2009)「わが国のバブル期以降の経済見通し・景気判断と経済政策」
深尾京司編・内閣府経済社会総合研究所監修
『バブル/デフレ期の日本経済と経済政策Ⅰ:マクロ経済と産業構造』慶応義塾大学出版会,第5章.

2010.2.15記

北坂 真一北坂 真一
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