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教員の現代経済ウォッチング

Vol.38 日本経済の成長戦略

日本では野球やサッカーなどにプロスポーツがあります。プロの試合はお金を払わないとスタジアムに入れませんが、足繁く通うファンもたくさんいます。この方たちの関心は、ただ勝った負けた、だけではないような気がします。様々な楽しみはあるでしょうが、一流の技術を持ったプロの選手のプレーならばお金を払ってでも観たい、ということかもしれません。プロスポーツの主役は言うまでもなく選手です。しかし、選手だけで試合は成立しません。普段はあまり気にしないかもしれませんが、試合に欠かせない要素として審判の存在があります。野球の試合に審判がいないと、ストライクかボールか言い争いになり、試合が進まないかもしれません。試合の成立には、きちんとしたルールと、それに従わせる審判が必要です。
小橋 晶

小橋 晶

市場経済も、同じように捉えることができます。モノやサービスの供給する生産者は、プロ選手が試合に勝とうと努力するように、消費者に受け入れられるものを作ろうと様々な知恵を絞り努力します。消費者はそれが満足できるものであればお金を払います。やはり経済社会にもルールと審判の存在は必要です。例えば、他社が持つ特許を勝手に使って、安く商品を販売する会社があったとします。一見、消費者にとっては問題ないように見えるかもしれません。しかし、これは長い目で見れば望ましくありません。どの会社も自力で技術開発をしようとしなくなるからです。やはり、審判の役割を政府などが果たす必要があります。

プロスポーツでも市場経済でも、審判の存在が必須なのは同じですが、審判が出来る範囲も同じくらいと考えてもよいかもしれません。審判が試合の主役にはなれない、ということです。ロスタイムの同点ゴールを演出するために、ファウルを流して笛を吹かなかったとしても、実際にゴールが生まれるか分からないし、生まれたとしても観客はそんなゴールに感動できるでしょうか。あくまで、劇的な試合展開を生み出すのは、選手による勝負に勝つための一生懸命なプレーに他ならないでしょう。これは、消費者が望むモノ、サービスが何で、生産者が何を作ればよいかを政府がうまく計画できないことに似ています。

Jリーグも誕生してからかなり経ちました。観客数の低迷があったからか、引き分けの導入、入れ替え戦の方法などにも変化がありました。よりエキサイティングなゲームを生み出すための試みの一環でしょう。新たにプロスポーツを誕生させるのは簡単ではないようです。ただ、サッカーにしろ野球にしろ、欧米にお手本はありました。どのような試合形式にすればリーグが活性化し、試合がエキサイティングになるかはある程度参考にできたでしょう。また、選手も外国のリーグの試合を観てプレーや戦術を取り入れ、技術を磨いてきた面もあるでしょう。

経済でも、発展途上で外国を参考にするのはよくあることで、かつ合理的な方法と言えるかもしれません。例えば、外国で自動車がたくさん走っているが、自国にはまだない。ならば、その国民にも自動車への需要があるだろうと分かります。政府が、自動車会社が成長しやすいように援助するなどすれば、その国でも自動車産業が発展するかもしれません。しかし、先例がないならば、何がこれから発展するのかを予測するのは簡単ではありません。さらには、発展するタイミングの予測も正しくなければいけません。特に政府がこれらを予測するのは難しいでしょう。消費者に受け入れられず、商品が売れなければ倒産の憂き目にあうかもしれない、民間企業だって予測するのは難しいのです。これからの日本の経済成長には、もちろん政府による政策的な後押しが必要です。しかし同時に、政府に出来る範囲には限度があることを忘れてはいけないでしょう。

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