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教員の現代経済ウォッチング

Vol.50 サージェントとシムズ-2011年ノーベル経済学賞受賞者

米ニューヨーク大学のサージェント教授(Thomas J. Sargent)と米プリンストン大学のシムズ教授(Christopher A. Sims)が、「マクロ経済学における原因と効果」に関する功績で、2011年のノーベル経済学賞を受賞しました。合理的期待理論を取り入れマクロ経済学を発展させた中心的な人物のひとりがサージェントであり、そのようなマクロ経済学の展開に沿うような計量経済学の新しい分析手法である時系列分析を発展させたのがシムズであると思います。

私が学部学生であった1970年代後半ころから、合理的期待理論によってマクロ経済学が大きく変革されてゆきます。民間がマクロ経済構造を考慮して合理的に期待形成を行うことをモデルに組み込むと、裁量的な経済政策は無効となることを合理的期待学派は提唱しました。すなわち、民間と政府とが相互に情報を読みあいながら行動が変化していくことをモデルに組み込んだと考えてよいでしょうか。両方向への因果関係を組み込んだマクロ経済理論の展開の中でサージェントは中心的な役割を演じてきました。
佐竹 光彦

佐竹 光彦

また私が大学院生のときに、時系列分析に出会いました。シムズはマクロ経済学における実証分析の手法であるVAR(Vector Autoregression)分析を、時系列分析の中で構築しました。それは、政策効果やエネルギー危機や金融危機のような外生的なショックがどのような経路を通して、マクロ変数にどのような効果を与えるのかを分析する手法であり、変数間の相互依存関係を実際のデータを使って分析する方法です。現在でもマクロ経済学の実証分析の標準的な方法のひとつとして広く利用されています。

現在のマクロ経済学では、新しい古典派経済学(New Classical Economics)と新ケインズ派経済学(New Keynesian Economics)の間で議論が展開されていますが、そのような議論の枠組みを理論面、実証面それぞれで形作ったことに、サージェントとシムズは大いに貢献したと考えられます。

合理的期待学派の旗頭としてマクロ経済学に革命を起こしたルーカス教授(Robert E. Lucas Jr.)が1995年に、そして、因果性分析と共和分関係という概念を取り入れて時系列分析の発展に貢献して、2003年にグレンジャー教授(Clive W. J. Granger)とエングル教授(Robert F. Engle)がノーベル経済学賞を受賞しました。ほかにもこの分野で素晴らしい業績を上げた研究者は何人もいます。その中からこの2人が今年受賞したことは、彼らの開発した理論と実証分析の手法を利用している私としては本当にうれしい限りです。なお、ノーベル賞に関する情報は、http://www.nobelprize.org/で参照できます。

佐竹 光彦佐竹 光彦
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