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教員の現代経済ウォッチング

Vol.56 あなたは合理的ですか?それとも・・・

前回・前々回と少し方向性は違いますが、今回も「選択」の問題をとりあげます。

経済学が取り組む根本的な問題は、有限である資源をいかに配分するかということです。個人のレベルで考えれば、それは選択の問題と考えることができます。わたしたちは、日々何かを選ぶという行為を繰り返しています。例えば、今日のお昼にどの定食を食べるか?A定食・B定食・C定食、いくら好物ばかりだとしても、お金や時間、一度に食べられる量には限りがありますから、すべてを食べることはできないでしょう。皆さんは、どのような基準で選択していますか?
米崎 克彦

米崎 克彦

このような場合、経済学では「人は自分の効用(満足度)を最大にするように選択する。」と考えます。その大前提は、経済学における人間は“合理的”であるという想定です。もう少し厳密にいうと、人はある目的に対してその人自身が適切であると考える手段を必ずとるという、「目的合理性」に基づく行動をするものだと考えるのです。

では、すべての人が合理的でしょうか?あなたの行為は常に合理的ですか?そんなことはないですね。わたしも常に合理的というわけではありません。人間が合理的であるという仮定のもとに経済理論が導く結果は、一つの指標として意思決定の参考になることはまちがいありませんが、それがすべてというわけではありません。2002年にDaniel Kahneman氏とVernon L. Smith氏が「行動経済学と実験経済学という新研究分野の開拓」というテーマでノーベル経済学賞を受賞して以来、人間の実際の行動を観察したり実験したりする、経済学の新しい分野の研究が進んでいます。

一つの例としてフリーライダーの問題を取り上げます。フリーライダー(ただ乗り)とは、公共財のような特殊な性質のある財が存在する場合、ある人が費用負担をして財を供給すると、その他の消費者が対価を支払わないでその財を消費できることです。よって、公共財を個人が自主的に供給するのか、という問題において理論的予測では「だれも公共財には費用負担しない」ということになります。しかし経済実験を行うと理論予測とは違い、それぞれの個人がある程度の公共財への費用負担が行われることが観察されています。また参加する人数の違い、人種の違い、男女の違いによって、その結果は変わってきます。さらに、参加者達に様々なコミュニケーション手段を持たせることによっても結果は異なってきます。

これらの結果を分析すると、「利他性」と「限定合理性」という2つのキーワードが導かれます。ただし、このような概念を含んだ均衡概念など様々提唱されていますが、まだすべてを説明できる満足なレベルに達していません。この分野は現在進行形の分野であり、まだまだ新しい発見があるはずです。

米崎 克彦米崎 克彦
 
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