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教員の現代経済ウォッチング

Vol.7 経済学理論と行動

これまでいろいろと紹介がありましたように、同志社大学経済学部では皆さんの興味や関心に応じて、多種多様な経済学が学べます。一見ばらばらなように映りますが、いずれも論理的思考というキーワードで統一された分析手法を用いるところに特色があります。現実に存在する複雑な経済問題について、まずはその本質(あらすじ)をシンプルな模型を使って考え、次に現実事象に対応するようにシチュエーションを変えて模型を動かしていき、分析することで複雑な問題の最良解を見出していきます。この論理的思考能力が身に付けば、社会生活を営む上で経済学を身に付ける以上の価値を生み出すことになります。
新関 三希代

新関 三希代

シンプルな模型の世界では、登場人物はある一定のルール(経済理論)にしたがって合理的に行動すると仮定されます。例えば、バスケも野球もサッカーも好きなT君について考えてみましょう。T君はどのスポーツが一番好きか理性的(合理的)に考えたところ、バスケよりサッカーが、サッカーよりも野球が好きなため、野球が一番好きということになりました。経済学においてこれは、「AよりBが好まれ、BよりCが好まれる場合、AよりCが好まれる」という推移性(理論)によって説明されます。

しかし、現実の人間の行動を一定の法則、理論だけで考えるには限界があります。先ほどの推移性を恋愛で考えた場合、一番好きな人を見つけることは出来るでしょうか。人気アイドルグループの「KA○―○UN」でKよりはTが、TよりもAが好きという人の中にAよりもKが好きという人もいるはずです(推移性が成立するなら、KよりAが好きになります)。人間がすべて完全なる理性の持ち主で合理的に行動することができれば、恋愛で悩む人、二股や三股をする人はこの世からいなくなるでしょう。

このように、人間の営みを確立された経済理論だけで解明することには自ずと限界があります。そうしたなか近年、現実に見られる非合理な人間行動に着目して経済理論を見直そうとする行動経済学が注目されています。株式や債券といった金融商品の分析を専門にしている私は、とりわけ、行動ファイナンスという学問に興味を持って研究しています。

1980年代末のいわゆるバブル期に日本の地価や株価が高騰したのは、投資家の買いがさらなる買いを呼び、市場価格が本来の価値(ファンダメンタルズ)から乖離したからです。その時、投資家すべてが合理的に行動していたならば、買いによって価格が上昇すれば売買差益(キャピタルゲイン)の獲得を狙った売りが登場し、価格は下落するはずです。行動ファイナンスでは、こうした買いによる買いを行う非合理な投資家、その行動を予想して買いに走る合理的な投資家などの行動を心理学を応用して説明していきます。

非合理な人間(投資家)の行動が論理的に解明できれば、これまで説明出来なかった現実社会の問題に対しても解答を与えることが可能となるのです。行動経済学(行動ファイナンス)という新しい学問領域が生まれ、その第一人者がノーベル経済学賞を受賞したのは2002年のことであり、経済学はまだまだ進化し続けています。みなさんも一緒にその進化の波に乗ってみませんか。

新関 三希代新関 三希代
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