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教員の現代経済ウォッチング

Vol.9 格差社会

「格差社会」という言葉が、「小泉改革の負の遺産」という言葉と共に、様々なマスメディアで取り上げられてきており、関心を持たれておられる方も多いかと思います。しかしながら、「格差社会」の意味は広範で、またそれを実証的に捉えることはそれほど簡単ではありません。格差には、所得の格差(結果の平等)、資産の格差、事前機会の格差(機会の平等)、意欲の格差といったものがあります。マスメディア等を通じて戦わされている議論の中には、結果の平等なのか機会の平等なのかなど、どのような平等について議論しているかが明確でないものも少なくはありません。
八木 匡

八木 匡

経済学がこれまでどのように格差社会を分析してきたかというと、まず、格差の存在を評価するのに必要な「公平性」についての価値判断を明確にし、格差を数量的に測る尺度と価値判断との関係について議論するというところから始まりました。まず始めに、結果の平等については1905年のLorenzによる先駆的研究から本格的に始まり、1970年代後半からはShorrocksを中心に機会の平等について価値基準と尺度との関連性に関する研究が行われ始めました。しかしながら、現在においてもなお、意欲の格差が機会の平等によってどのような影響を受け、それが結果の平等にどのような影響を与えているのか関して、明確な学術的研究結果が得られているとは言えない状況にあります。

機会の平等と結果の平等との関連で重要な問題が教育であります。詳細につきましては、今年の4月から経済セミナーで「教育と格差」というテーマで連載をスタートしますので、是非ともお読み下さい。ここでは、OECDが実施している学習到達度調査(PISA)データで示されている興味深い結果のみを紹介します。重要な結果の一つに、「子供の学力は親の学歴に影響を受けている。また、影響の強さは母親学歴よりも父親学歴の方が強い」というものであります。この結果の解釈については、入学後議論しましょう。皆さんと一緒に、同志社大学経済学部で、学術的に「格差社会」を学ぶことを楽しみにしております。

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