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原田 禎夫

専任教員紹介

原田 禎夫 HARADA Sadao

原田 禎夫
研究テーマ 公共経済学(環境政策・地域政策)
研究室 良心館583号室
演習(ゼミ)紹介 プラスチック汚染からの脱却をめざす実践型地域研究
HP ホームページ(外部サイト)
詳細 研究者データベース(オリジナルサイト)

 少子高齢化、そして人口減少が急速に進む中、地域社会をどのように維持していくのかは大きな課題となっています。人口の減少は、地方自治体にとっては税収が減ることを意味し、今まで当たり前に提供されてきた教育や交通、水道といった行政が提供してきたさまざまな公共サービスを、大きく見直さないといけなくなっています。また、地域の人びと自らがになってきた、町内会やPTA、あるいは祭礼のような伝統行事にも深刻な影響を与えてることになります。
 では、私たちはこうした課題にどう対処していけばいいのでしょうか?これまで日本では、中央集権的な地方財政制度のもと、地方自治体は国からの補助金や交付金に大きく依存してきました。しかし、最近では地方自治体が独自の税財源を確保したり、移住・定住を促すために地域の魅力や課題を積極的に社会に訴えるような動きも増えています。また、住民の側でも、従来からの地縁的な団体だけではなく、NPOのような新しい組織を立ち上げ、ともすれば今までは行政に「お任せ」だった地域の課題解決に自ら取り組む事例が各地で見られます。
 私は、地域の環境保全や公共交通の維持といった課題に、行政機関や住民のみなさんがどのように取り組み、実際にどのようにして課題を解決しているのか、といった研究を進めています。
 たとえば、世界的な課題となっているプラスチック汚染も、元をただせば私たちの暮らしの中から出たプラスチックごみが原因です。ごみの処理、すなわち廃棄物管理は、国内外問わず地方自治体が提供する基礎的な公共サービスの一つですが、そのあり方は国によって様々です。また、プラスチックごみの環境中への流出を防ぐためには、廃棄物管理だけではなく、市民社会の取り組みも重要です。ポイ捨ての防止や分別の意識の向上には、学校だけではない、広く社会全体での教育を通じた取り組みも欠かせませんが、そのためには行政機関と住民双方の協働的な取り組みが不可欠です。また、根本的なプラスチックごみの削減には企業と消費者の双方を巻き込んだ取り組みが必要ですが、そうした取り組みにもやはり行政機関と住民の協働的な取り組みは欠かせません。
 こうしたことは、地域の公共交通の維持についてもいえます。そもそも公共交通は、高額の初期投資が必要であり、その維持にもまた多額の費用を要します。人口の減少は利用者と料金収入の減少、そして経営の悪化を意味します。しかし、だからといって鉄道やバスの路線を簡単に廃止することはできません。日本国憲法では、「移動の自由」が保証されています。この「移動の自由」は、しばしば「交通権」とも呼ばれ、基本的な人権の一つであるという考え方が浸透しつつあります。高齢者や障碍者、あるいは児童・生徒など「交通弱者」と呼ばれる人びとにとって、公共交通の廃止・縮小は移動権を脅かすものです。さらに、最近では新型コロナウイルス感染症の影響により、公共交通の利用がさらに低迷し、問題はより深刻化しています。地域の公共交通をどう守り、人や物の移動や交通の自由をどう保障するのか、ここでもやはり行政機関に任せるだけではなく、地域の人びとも一緒になって課題解決に取り組むことが欠かせません。
 私はこうした関心のもと、国内だけでなく、アメリカや北欧、東南アジアでのフィールド調査にも取り組み、地域社会における行政と住民の望ましい関係とは何か、明らかにしたいと思っています。

学生へのメッセージ

大学時代は、社会に出る前に与えられたとても自由な、そして貴重な時間です。大いに学び、大いに遊び、広く世界を見る目を養ってください。

演習(ゼミ)

演習テーマ:プラスチック汚染からの脱却をめざす実践型地域研究


 この演習では,新たな環境問題として注目をあつめる「プラスチック汚染」について,京都を流れる保津川(桂川)を主なフィールドとした調査・実習を通じて学びます。近年,世界的に大きな問題となっている海洋プラスチックごみ問題ですが,その8割は陸から川を通じて流出していると言われています。2020年には国のレジ袋有料化が,また京都府亀岡市では全国初のレジ袋禁止条例が制定されるなど,問題解決に向けて大きく動き始めています。
 この演習では,NPOや企業、自治体と連携しながら,海や川のごみ調査や国の天然記念物「アユモドキ」や天然鮎の復活に向けた取り組みなどにも参加し、身近な河川の環境問題について学びます。また、科学的なデータの収集・分析能力の向上をめざしてアンケート調査などにも取り組むとともに、研究成果の社会への発信にも積極的に取り組みます。

2年次演習

プラスチック汚染の全体像を学ぶとともに、企業や自治体からゲストスピーカーを招き、最新の取り組みを学ぶとともに、世界共通の海洋ごみの評価手法(ICC: International Coastal Cleanup)や,オンラインごみマップなどを活用した定量的な散乱ごみの評価手法の習得を通じて、プラスチック汚染の実態について学びます。また、個人・グループで、研究上の問い(リサーチ・クエスチョン)や仮説を立てるトレーニングを行います。


[履修条件]
フィールド調査・調査合宿に積極的に参加すること。

3年次演習

プラスチック汚染の解決に取り組む現場でのフィールドワークを実施し、地域での聞き取り調査やアンケート調査に取り組むこととともに、地域の人びとの活動が持続的であるためにはどのような仕組みづくりが必要なのかを考えます。一連の研究成果は学会や他学との合同ゼミで報告します。また、3年次ではディベート大会などにも積極的に参加することで、プレゼンテーション能力の向上をめざします。


[履修条件]
フィールド調査・調査合宿、合同ゼミ等に積極的に参加すること。公共経済1を履修するまたは履修済みであること。

卒業研究

2年次演習と3年次演習で学んだことを基礎にして、単に経済学的なアプローチだけでなく、政治、行政などの諸分野を視野に入れながら、卒業論文を執筆します。


[履修条件]
フィールド調査・調査合宿、合同ゼミ等に積極的に参加すること。公共経済1・2を履修すること。

関連する科目

既修・併修を強く勧める科目
  • 公共経済1・2
  • 財政1・2
  • 環境と資源1・2
  • エコノミクス・ワークショップ・プライマリ (ボトムアップの環境政策の展開:市民セクターの力をどういかすか?)
既修・併修が望ましい科目
  • 環境と資源の基礎1・2・3・4
  • 環境政策Ⅰ・Ⅱ
  • 統計Ⅰ・Ⅱ

関連する演習

学生による「私のゼミ紹介」