藤本 穣彦
専任教員紹介
藤本 穣彦 FUJIMOTO Tokihiko

| 研究テーマ | 食とエネルギーの地域自給圏に関するエコロジー経済学の研究 |
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| 研究室 | 良心館461号室 |
| 演習(ゼミ)紹介 | |
| HP | researchmap |
| 詳細 | 研究者データベース(オリジナルサイト) |
わたしの研究は,「地域づくりの環境学」を実践してきた歩みから成ります。「地域固有資源を活かす地域主体をどのように形成するか」という問いを考えてきました。「地域」をひとつの生命体と捉え,その土地の生態と,そこに生きる主体との相互作用から成る世界観とメカニズムを解いていきます。さいしょの切り口は水の自給に注目した「小水力発電」でした。その土地を流れる水は,環境制約の範囲内で利用されて循環性が保たれるかぎり,更新性あるエネルギー源となります。ゆったりと米を挽く木製水車のように,その土地を流れる水の力をそのまま利用して「時間」をかけてその力を引き出すことで,暮らしと仕事の持続性の根拠を創りだせます。わたしはインドネシアの「無電化村」で実践されていた手づくりの発電技術を学び,九州で小さな発電所をつくりました。「コミュニティ・エネルギー」,つまり「地域の水」で電力を生産し,それをベーシック・インカムとして地域経営するアイデアです。「地域の水」とのあいだにゆったりとしたケア的な関係性を切り結んで「資源」とし,それを持続的に手直ししながら活かすプロセスが地域づくりとなります(『まちづくりの思考力――暮らし方が変わればまちが変わる』,藤本穣彦,2022年,実生社)。
つぎに「食べる」です。「地域」全体で生ごみを集めてリサイクル堆肥化し農業をまるごとオーガニックに転換する市民生活が鹿児島県日置市に根づいています。「食べたもので食べるものをつくるまち」というコンセプトで,年間1,000トンを超える生ごみが焼却処理されることなく「土(よかんど)」になり農地を再生しています。こんにち,食べものは世界中から〈わたし〉に向かってきますよね。〈わたし〉を通りぬけた食べたものは土になり水に流されまた世界に浸透していきます。〈わたし=食べる身体〉は食べると出す循環でエコロジカルに世界と繋がっています。肝は「腸」です。〈わたしの腸〉は,常在菌や土壌菌と共生しながら分解と再生のリズムを刻みます。大切なのは「一枚の畑」をもつことです。ただ畑をすればよい,食べものを生産すればよいというわけではなく循環が息づく畑をつくるのがポイントです。風を感じて光を集めて,草も虫も慈しんで,泥に交えてそっと種を植える。畑って面白いんですよ,作り手の性格と個性がありのままに表現される「庭」なんです。やさしい人がつくる畑は本当に柔らかい。季節の美と生きもののにぎわいが表現されていて,火を囲んで美味しいものがいつもある。「一枚の畑」は,その世界観に共感する人々が集う依り代となり,自然を気づかい手直しする百姓技を学び合う「実践コミュニティ」になります(『多摩の森を食べる――暮らしをフィールドワークにするレッスン(仮)』,藤本穣彦編,食べる研究室著,近刊,実生社)。
あらためて,自然は,〈わたし〉はだれのものなのでしょう? 非所有の可能性,つまり,自然も〈わたし〉も誰のものでもないところから,そのものが生み出す価値と恩恵の分かち合い,保全と健康の構想をどのように考えられるのでしょうか。働き方や暮らし方は,経済と社会はどのような在りようを示すでしょうか。「誰かの/〈わたし〉のものである」ということの限界を超えて,自然のなかで循環する人間,コミュニティのなかの人間から成る「ホモ・エコシステムの経済学」とはなにか。「問い」を更新して探究をつづけています。
学生へのメッセージ
わたしは同志社大学で学びました。ゼミにワンゲル部員がいて一緒に山に登りました。自転車に乗ってどこまでも。川やカフェでひと休み。「農」の風景が身近にあって。薪で焚く銭湯はあったかいんですよね。勉強もよくしました。大学院の先輩とは今でもビールを飲みながらむかし話をします。大学って学問って「自由」だよなあって。「問い」は自分で考えだすものだから。個人的な問い,社会的な問い,学問的な問いが重なり合って問い,問われて。正面から向き合って,データにしてみたり,資料収集してみたり,実験してみたり。じっくりと考えて対話して,ことばを吟味し表現する。説得力が大事。そのくり返し,ずっとやってる,やっていられる。矢のように真っすぐ次へつぎへと人生を展開するのもかっこいいけれど,違和感を感じたら立ち止まることも大事。踏ん張って立って留まって。畑して料理してみどりを手直しして本を読む。すこし落ち着いてきて。生き方や関係性がゆったりとやさしく,〈環〉のように感じられてこないかな? 学問と自然に通じ合う掛け替えのない「時間」は,学生の時だからこそ感じやすい。未だナニモノにもなりたくないと願うあなたにおとずれる「自由」を祝福します。
演習(ゼミ)
演習(ゼミ)のテーマは〈生命系の経済〉です。生きもののにぎわい(生態環境)と人間経済の相互作用を整えるエコロジー経済学を「地域単位」から構想します。ある「地域」の更新性(持続性)とは「水の自給を通じて,エネルギーとエントロピーの自給自足的な再循環機能を営むこと」(室田武)とされます。この循環が「地球全体の更新性」を保証するとも。皆さんは,生命(いのち)をどのように実感していますか。なにが〈わたし〉と生命たちとの関係性を育むのでしょう。〈食べる〉からアプローチしてみませんか? 小水力発電で,電気もつくってみましょうか? 暮らしをフィールドワークにしましょう。買う生活から手づくりの暮らしへ。ひとりではなくコミュニティの力を集めて。「一枚の畑」を耕し,京都一周トレイルを歩いて,「最も美しい村」を旅しながら。子どもたちと一緒に水と遊んで泥にまみれて。他者・自然・社会を様々に経験することから「内なる自然」を育み,よい「問い」をもちましょう。本もたくさん読みます。簡単には答えのでない,解決をもとめるのでもない,いい関係性をつくりあげていく,そういう「問い」に出会えたら卒業です。よい仲間ができますように。
| 2年次演習 |
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〈食べる研究室〉へようこそ。「理想の食卓」を考えてみてください,どのような風景を思い浮かべましたか。〈わたし〉へと旅してくる「食べもの」との関係性を丁寧に切り結びながら,〈食べる身体〉を通りぬけていく先の生命環境へとアクセスする。ゼミでは京都市内で協同の畑を耕します。子どもたちとあそびばをつくって,料理もします。「若者食堂」を開こうかな。暮らしをフィールドワークにする基本的方法を学び,コミュニティで実践して,「心の習慣」(ロバート.N.ベラー)を整えましょう。〈わたし〉も環境も経済もエコロジカルに。 [履修条件]
環境と資源の基礎。環境系のEWPを様々に積極的に受講してほしい。畑や料理をします。コミュニティ活動やボランティアに積極的な気持ちをもってゼミに集ってもらえると嬉しい。
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| 3年次演習 |
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〈生命系の経済〉を表現しよう。エコロジーと経済学の交差点をリ・デザインします。古典や理論をじっくりと読み解き,イマココの暮らしや生態の実感と付き合わせながら対話します。チャールズ・ダーウィン『種の起源』やグレゴリー・ベイトソン『精神の生態学へ』,アネマリー・モル『食べる / Eating in Theory』,今西錦司『生物の世界』などを講読してきました。「稲妻が雷鳴に先立つように,思想は行動に先立ってやってくる」(アルフレッド・ド・ヴィニー)。この瞬間を感じるために読み,対話するんですよね。万物の森羅万象,地球と生命の基本原理を理解して,時代の精神に照らして意味づけ直して,「ホモ・エコシステムの経済学」を共に探究しましょう。ひとりでは難しくてもゼミ生と一緒なら「遠くへ」行けます。
[履修条件]
エコロジー経済,エネルギー経済,環境政策の各講義のほか,環境系のEWPを様々に積極的に受講してほしい。古典を読みじっくりと思考して対話できる,思考力のある学生が育つゼミにしたいです。
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| 卒業研究 |
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[履修条件] |
関連する科目
既修・併修を強く勧める科目
エコノミクス・ワークショップ・プライマリ2-711(生命系の経済を構想するために,「まちづくりの思考力」を磨く)エコノミクス・ワークショップ・プライマリ2-712 (生命系の経済へ,「食べる研究室」のアプローチ)
既修・併修が望ましい科目
エコロジー経済,エネルギー経済,環境政策
履修を勧める3年次演習関連科目
今後設計予定
関連する演習
三俣学,石田葉月,和田喜彦
学生による「私のゼミ紹介」