長澤 勢理香
専任教員紹介
長澤 勢理香 NAGASAWA Serika
研究テーマ | 近世・近代イギリス貿易史 |
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研究室 | 良心館478号室 |
演習(ゼミ)紹介 | 比較史から考える |
詳細 | 研究者データベース(オリジナルサイト) |
かつて西ヨーロッパの国々は大西洋やアジアの海へと漕ぎ出し、それにしたがい貿易は長距離化していきました。世界各地にヨーロッパ中心の経済システムが持ち込まれ、その結果、貿易はヨーロッパの経済成長のエンジンとなりました。そして現代においても、これらの西欧諸国やそこから派生した国々の経済は相変わらず世界経済の中心にあります。
経済史では長らく、「なぜヨーロッパは本格的な工場制機械工業化をいち早く経験して豊かになったのか」という疑問が、ヨーロッパ自身の内的独自性の側面から論じられてきました。いわゆるヨーロッパ中心主義です。しかし20世紀後半以降21世紀にかけて、アジア・アフリカ・ラテンアメリカなどで顕著な経済成長が見られるようになると、ヨーロッパだけが特別だったわけではないという見方が広がりました。現在の経済史では、ヨーロッパの独自性にこだわらず、世界のその他の地域との相互連関や影響に視点を移した研究が主流になっています。
このような背景のなか、私はイギリスが大西洋を舞台に展開していた奴隷貿易や植民地貿易、そしてそれらに付随する植民地経済について研究しています。19世紀のイギリスはいうまでもなく世界一の経済大国でしたが、それはそこに至るまでに他の地域と互いに影響をおよぼしあった結果です。経済史を通して、なぜ豊かな国や貧しい国に分かれるのか、何が経済を発展させるのか、あるいは衰退させるのかを考えています。
学生へのメッセージ
経済学は経済現象を分析する学問です。学問ですから、理論に基づいて体系化され蓄積されてきた知識や方法があるわけですが、その上に立って分析するのは皆さん自身です。これが「勉強」と「研究」の違うところです。物事を考える、分析するということに楽しみを感じてほしいと思います。
演習(ゼミ)
演習テーマ:比較史から考える
本演習では、受講者が自らテーマを設定し、段階を踏みながら研究を進めていきます。テーマは演習担当者の研究分野である近代イギリス経済史に限定されません。身近な話題や社会の課題、あるいは個人の興味から自由に経済に関連するテーマを探してください。もちろんヨーロッパの経済史に興味がある人も歓迎します。
個人・グループで設定した研究テーマについて演習内で掘り下げて議論し、成果としてパワーポイントを使って発表します。その際、歴史的経緯や現状分析とともに、比較の視点を取り入れて考えましょう。例えば、前任校で過去に担当した演習のグループでは、昨今のペットブームと殺処分問題をテーマとして選びました。ドイツと日本の動物愛護に関連する制度や法律の歴史を比較し、日本でも無理なく受け入れられるインセンティブによる解決策を模索しました。
このように、現代日本の身近な話題であっても、さまざまな視点から分析・考察することは可能です。受講者の皆さんは演習を通して、調べる力、論理的に考える力、組み立てる力、効果的に伝える力を鍛えましょう。
2年次演習 |
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コミュニケーション力や論理的思考力をつけることを目的としたグループワークや、6分程度の個人プレゼン発表を中心に演習を進めます。プレゼン発表の動画を見て、様々な手法や技術を学ぶところから始めます。 [履修条件] |
3年次演習 |
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年間を通してグループで研究と発表に取り組みます。グループで協力して30分程度の本格的なプレゼン発表を行います。4年次の論文執筆を見据えて、資料収集、論理的思考、分析、図表の利用、展開方法などの総合的な力を養います。 [履修条件] |
卒業研究 |
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研究対象となるような適切な論文テーマをすでに設定していることが望ましいです。論文の書き方やルールを学んだあとは論文執筆に進みます。中間報告や個別指導を経て、卒業研究を完成させます。 [履修条件] |