大垣 昌夫
専任教員紹介
大垣 昌夫 OGAKI Masao

研究テーマ | 共同体メカニズムと行動経済学 |
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研究室 | 良心館585号室 |
演習(ゼミ)紹介 | 行動経済学の実証研究 |
詳細 | 研究者データベース(オリジナルサイト) |
行動経済学の知見や方法を用いて共同体メカニズムの研究をしています。ここで共同体メカニズムとは、少なくとも1人が自発的な協力を提案して拒否されないメカニズムであり、市場メカニズムと権力メカニズム(例えば警察や裁判制度等の権力を基礎に税金の支払い等を強制することができるメカニズム)を補完するものです。天災、環境問題、感染症などの危機の時代には共同体メカニズムの活用が喫緊の課題となります。例えば日本を初め多くの国々で少子高齢化が進んでおり、認知能力の高齢化による低下で独力では市場メカニズムを活用できない高齢者の人口の割合が大きくなっていきます。しかし少子高齢化のために政府財政危機が生じるために権力メカニズムだけに市場メカニズムの補完を頼ることができないため、共同体メカニズムも活用していく必要性が高くなっていきます。例えば認知能力が衰えた高齢者への介護サービスが市場メカニズムで提供されており、公共セクターからの支援がこのサービスを補完していますが、今後は家族や近隣の人々のサポートによる共同体メカニズムによってよりよく補完していくことが重要です。Win-Win の状況での共同体メカニズムは利己的で合理的な経済人を前提とする伝統的経済学の方法で探究できますが、経済人を前提としない行動経済学の方法を用いれば信頼や利他性の促進等も含めてより広く共同体メカニズムを研究していくことができます。
学生へのメッセージ
グローバリズムやインターネットなどのテクノロジーの発達によって、多様な世界観(価値観や倫理観など)を持った人々と関わることが増えています。このような状況で自発的な協力を広げていくためには、それぞれの人の世界観を尊重し、異なった世界観から経済行動も含めて異なった行動が生じることをより深く理解することの重要性が増していると考えます。「人の世界観を尊重して行動経済学を研究する」ことに共感する学生の皆さんとともに学び真理を探究していくことを期待しています。
演習(ゼミ)
演習テーマ:行動経済学の実証研究
本ゼミは行動経済学の実証研究を行います。行動経済学は、伝統的経済学で用いられる利己的、合理的に自分の効用を最大化する経済人、という仮定をおかない経済学です。行動経済学にはさまざまな切り口がありますが、特に本演習で重視するのは、倫理観や価値観や世界の成り立ちに関する信条などの世界観の経済行動への影響です。例えば「貧しい人々のために寄付をすると天国に行く確率が高くなる」という世界観をもっていれば、利己的であっても寄付をすることになります。このように伝統的経済学ではあまり注目されてこなかった人の「利己的」な「合理性」とは異なった部分を研究するのが、行動経済学という分野です。本ゼミでは「人の世界観を尊重して行動経済学を研究する」をモットーとし、個人の物質的満足度を重視する世界観を持つ人も、共同体に貢献することによる充実感を重視する世界観を持つ人も、互いに尊重し、人間の経済行動に関する真理探究のために研究を行う研究共同体として成長していくことを目指します。
2年次演習 |
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2年次演習では毎週リーディング課題と指定するインターネットの記事等の演習の予習としての各自のリーディングを基に、ディベート等で世界観についての学習を深めます。 [履修条件] |
3年次演習 |
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3年次演習ではグループ研究により、倫理観や価値観や世界の成り立ちに関する信条などの世界観の経済行動への影響を中心に研究を進めていきます。研究グループは原則として3人のメンバーで構成し、研究仮説を構築して経済行動(お金だけでなく時間も含めて希少な資源に関わる行動)と世界観を問うアンケート調査によりデータを収集し、回帰分析を行う。 [履修条件] |
卒業研究 |
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卒業研究では個人が自由に選ぶ行動経済学の研究テーマ(必ずしも世界観に関係しなくて良い)の研究を実施します。原則としてインタビューによる質的研究方法を研究に含めることとします。 [履修条件] |