奥田 以在
専任教員紹介
奥田 以在 OKUDA Iari
研究テーマ | 近代京都の都市史:都市コミュニティの歴史 |
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研究室 | 良心館477号室 |
演習(ゼミ)紹介 | 京都の職人や老舗に関する研究-現代社会と京都のものづくりや文化を取り巻く世界- |
詳細 | 研究者データベース(オリジナルサイト) |
都市といった場合には、経済活動や行政による活動がイメージとして出てくるかもしれませんが、一方で都市は生活の場でもあります。つまり、経済活動・行政による活動・生活のそれぞれが相互に関係を持ちながら、都市は構成されています。私は、その中で都市生活や都市住民のコミュニティに着目しながら、それが時代の社会経済状況の変化によってどのように変化していったのかということを歴史的に研究しています。
私が主として研究している時代は近代、特に明治中期から昭和初期で、これまでは京都を中心に研究してきました。近代の京都は、東京遷都によるダメージから立ち直るべく、様々な変化を経験しますが、そのなかで都市での生活や人々の関係はどのように変化していったのか、ということを京都の最小の都市コミュニティである「町」(チョウ)を対象として分析しています。
演習テーマである職人については、これまで多くの職人さんに出会い、聞き取りを行ってきました。その中で、職人を通して現代を知る必要を痛感しています。我々の暮らしとものとの付き合い方というのは、実は時代を映す鏡なのではないか、ということです。また、職人というと変化がない世界のように感じるかもしれませんが、実は技術もつくり出すモノも変化をしています。職人の世代も変わっていきます。そういった職人世界の動的な部分(もちろん静的な部分もしっかりとあるのですが)にも着目する必要があるのではないかと思い、日々考えています。
学生へのメッセージ
京都は学生のまちと言われます。京都の人々は学生に対して、寛容なところがあるような気がします(もちろん羽目を外しすぎては怒られます)。そんな環境ですから、大いに京都の町を歩いて、飛び込んで、色んな人に出会ってください。
演習(ゼミ)
演習テーマ:京都の職人や老舗に関する研究-現代社会と京都のものづくりや文化を取り巻く世界-
私たちの生活や文化は物によって支えられていますが、ひとつの物ができるには、材料、道具なども必要です。このいずれの部分にも職人が存在します。つまり、私たちの生活や文化は、ものづくりに携わる多くの職人によって支えられているわけです。これは当たり前のように思えますが、見落としがちです。
その職人の世界は、時代や社会経済状況の変化に対して、どのように対応してきたのでしょうか。変えたこともあれば、逆に変わっていない部分や変えてはいけない部分もあるかもしれません。ゼミを通して、皆さんとこれらの問題を学びたいと思っています。
また、京都には創業100年を超える老舗が数多く存在します。老舗が長期間にわたって経営を維持できた理由は何なのでしょうか。そして、現代社会の中でどのように時代に適応し、時代を切り拓いているのでしょうか。私たちは、その哲学についても学ばせて頂きたいと思っています。
これらのことを学ばせて頂くために、私のゼミではフィールドワークという方法で研究を進めていきます。調査先の方々のお時間を頂戴して研究を進めるため、ゼミの参加者はご厚意に支えられて成り立っていることをしっかりと弁えて演習活動に臨んでください。
真剣に研究を進めていくと、どこかで現代社会や自分自身のあり方についても考える機会にぶつかります。職人さんや老舗の方々のお話を通して、現代と未来を考えてください。
ここからは、ゼミの具体的な内容について少し説明します。(詳しくは、学部生向けのクラス紹介資料等を見てください。)
このゼミは、ゼミ時間外の活動の多いゼミです。ゼミの時間は発表が中心で、フィールドワーク、発表準備はゼミ時間外に行ってもらいます。それに加えて、年度によって多少の変更はありますが、学園祭出店といった研究以外のプロジェクト活動も複数行っています。全員に担当を持ってもらい、定期的に進捗状況の報告を行ってもらいます。研究とプロジェクト関係を合わせると、発表が月に2回程度あります。さらに、状況によっては、ゼミ活動に関連する書籍を輪読する場合もあるので、ゼミ活動にかなりの時間が割かれます。これは、予め承知しておいてください。
研究もプロジェクトもグループで行います。グループでの活動は、思ったよりも大変だと思います。スケジュール調整だけでもなかなか大変です。きっと、グループワークならではの様々な困難に直面するでしょう。しかし、グループだからこそ得られることも沢山あります。学生時代に七転八倒してください。
また、学生同士で協力して取り組むことが非常に多いゼミです。失敗することも多々あるでしょう。しかし、そこでめげることなく、失敗を糧にしてもらいたいと思っています。全力で取り組んで、いい失敗をして、逞しくなってください。
ぜひ、このページの下方にある学生による紹介文も読んでください。
2年次演習 |
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2年次演習では、いくつかの書籍を輪読しつつ、フィールドワークに出るための準備を進めます。また、グループごとに研究テーマを決定して調査報告を始めます。プロジェクトについてもチームを決定し、活動計画を立ててもらいます。 [履修条件] |
3年次演習 |
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3年次演習では、調査を数多く行ってもらいます。調査の準備(下調べなど)-フィールドワーク-発表というサイクルを繰り返します。3年生の最後には中間報告会を行い、1年間の調査内容を整理します。これに加えて、場合によっては関連する書籍の輪読を行うこともあります。3年生はゼミでのプロジェクト運営も数多くあるので忙しくなります。 [履修条件] |
卒業研究 |
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3年次演習の中間報告会を踏まえて、卒業研究をグループで書いていきます。必要があれば追加調査を行います。グループで1つの卒業研究を執筆するので苦労も多いと思いますが、それを乗り越えていい卒業研究を仕上げてください。 [履修条件] |
関連する科目
既修・併修を強く勧める科目
既修・併修が望ましい科目
履修を勧める3年次演習関連科目
関連する演習
学生による「私のゼミ紹介」
奥田ゼミに興味を持ち、当ゼミ紹介HPにお越しくださりありがとうございます。
・奥田ゼミについて
奥田ゼミでは京都の職人さんや老舗について研究しています。現場の方にお話を伺うフィールドワークを中心に活動を進めており、私たちの研究はアポイントメントを取る所から始まります。この際、挨拶はもちろんマナー、一般常識や事前の下調べが必要です。伺ったお話は随時ゼミ内で調査報告を行います。報告発表の準備で、取材した内容を簡潔かつ明瞭に伝えられるように意見交換をする中で自分自身の強みや弱みについて気づくことができます。ゼミ生同士で協力するためには、理解力に加えて表現力、計画性や積極性が連なって求められます。
主な活動内容である、研究やプロジェクトをはじめとするゼミでの活動すべてがグループで行われるため、様々な価値観に触れることができると同時に、グループワークの難しさを感じる瞬間に多々直面します。自然と授業外の集まりや会議が頻繁になった事は奥田ゼミの特徴が如実に現れていると考えます。
奥田ゼミは共同で創出する環境に責任感を持って臨むことで、互いの成長を支えあいながら目標達成に向けて努力することを目指します。
11期生研究テーマ
「京金網」「日本酒」「豆腐」
12期生研究テーマ
「ネクタイ」「清水焼」「京漬物」「町家」
・プロジェクトについて
3回生では班ごとの研究に加えてプロジェクトである説明会・合同ゼミ・EVE祭(学園祭)出店の運営が同時進行で行われます。先生からのご意見やゼミ生からの要望に応えられるようにプロジェクトチーム内で話し合いを重ねて努力します。これらのプロジェクトはかなりの労力を要しますが、その分やりがいもあります。
□説明会
説明会とはゼミの個別説明会や全体説明会を指します。新2回生の皆さんが自分に合ったゼミ選択を出来るように、どのような情報をどのように発信するのか考えながら、ゼミ生全員で役割分担をして運営します。
□合同ゼミ
合同ゼミでは、3 学年が集まり交流する機会を催します。先輩⽅や後輩たちと時間を共有する機会は少ないですが、 この⽇は学年を越えてクイズ⼤会やスポーツ、お食事会を通して交流を深めました。その他に、同期の懇親会も担当します。
□EVE
24年度のEVE班は「暖かくて旨いもの」を念頭にトッポギとオムク(韓国おでん)を販売しました。奥田ゼミの出店は先輩方の出店に負けないよう、こだわり尽くします。韓国からの留学⽣を筆頭に現地の味を追求するため、 唐⾟⼦粉の選定や出汁の取り⽅など試作を重ねました。見当は付くものの、正確な予測が難しいまま迎えた当⽇は奥⽥先⽣やゼミ生の協力を得ながらEVEの3日間を走り抜きました。
・どんな人が向いているか
奥田ゼミは個性豊かな学生が多く、一概にまとめることができません。しかし、ゼミ生の共通点として挙げられるのは、「行動力」「手間」「献身性」を惜しまず発揮することです。
重要なのは、能力ではなく意識です。人との関わりを開いた気持ちで取り組むことの出来る人、誠実に目の前のことに対応する意識をもっている人が、より多くの学びを得られるはずです。
・2回生のゼミ(約半年間)で学んだこと
奥田ゼミは他者との協力を基にそれぞれの個性を育む活動をしています。一人一人が、研究班とプロジェクト班という二つのグループに所属します。研究班では、「職人」に関する本の輪読から得た学びや考察を班の人と意見交換をし、それぞれの班でまとめた解釈をゼミ全体に向けて発表します。その発表では、他の班から様々な質問や意見をもらうことができ、発表をする側、聞く側、双方が共に成長できたと実感しています。
また、学外の職人さんにお話を伺う機会もあり、事前の下調べをし、礼儀やマナーを意識しながら交流することを心掛けました。
プロジェクト班では、2回生として取り組みは始まったばかりでしたが、試行錯誤を重ねる中で、協調性・計画性・実行力を身につける第一歩となりました。
これらの活動を通じて、奥田ゼミでは他者との協力、自分1人で考える力、みんなの前で堂々と自分の意見を主張する力が養えたと考えます。
3回生では、研究やプロジェクト活動がより本格化します。2回生で得た経験を活かし、物事を多角的に捉えて論理的に伝える力をさらに磨くとともに、仲間と協力しながら柔軟に対応する力を高めていきたいと考えています。
・最後に
奥田ゼミでは、全ての活動に対して細部に渡るまで慎重に考え、徹底して追求する姿勢が求められます。その為、熱意をもって取り組んでいるので議論の白熱することが多々ありますが、互いの意見を尊重し最終的な到達目標に向けて日々奮励しています。
大変なこともありますが、やりがいとして職人の方々から様々なお話を伺い、味わい、雰囲気を体感するなど五感を用いて勉学に取り組むことができる点を挙げられます。加えて、ゼミ全ての活動において費やす時間が長いからこそ得られる事があります。
最後に、奥田ゼミで全身全霊を尽くす学びに挑戦しませんか?
奥田ゼミ10・11・12期生より