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山森 亮

専任教員紹介

山森 亮 YAMAMORI Toru

山森 亮
研究テーマ 連隊経済、ケアエコノミー、社会政策
研究室 啓明館405号室
演習(ゼミ)紹介 No one will be left behind:連帯経済×社会政策×SDGs
詳細 研究者データベース(オリジナルサイト)

大学受験に失敗した頃、路上での生活を余儀なくされていた人たちと出会いました。それで経済学を志したのですが、いざ大学に入って教科書を開いたときの違和感を今でも覚えています。「選好」「欲求」に基づく「選択」の話はあっても、貧困ゆえに「選択」することもできず「必要」が満たされないという世界はほとんど出てこないではないか、と短絡的に考え、しばらく授業に関心を持てない日々を過ごしました。現在かなり様々な領域にわたって研究していますが、根っこの部分の問題関心としては、大学入学のころに感じたことの周りを今もうろうろしているようです。すなわち「選好」に還元しきれない「必要」をどのように経済学は取り扱うのか、という問いです。

  1. 「必要」の問題を正面から取り上げた数少ない現代の経済学者である、アマルティア・センの議論の肩に乗っかるような形で修士論文や博士論文を書きました。彼の問題関心の広範さに導かれるように、平等論やポスト・コロニアリズム、あるいはフェミニスト経済学といった、通常、経済学ではマイナーな領域に足を突っ込んでいます。
  2. 昨年秋まで2年ほどイギリス・ケンブリッジで、「必要」が経済学や思想の歴史のなかでどのように取り扱われてきたかについて研究する機会に恵まれました。「経済学の父」アダム・スミスが必要についてどのように考えていたか、結構面白いです。
  3. 「必要」を満たす制度・政策にかかわる「社会政策」が学部での私のメインの担当科目です。ベーシック・インカムという、福祉国家の現在のあり方とは一見大きく違う考え方を中心に研究しています。

ま、そんな研究を続ける一方で、いつまでたっても、自分自身にとって何が必要なのか、間違えてばっかりです。もう一杯くらい大丈夫・・・・・あっ、終電行っちゃった!

学生へのメッセージ

学生生活も結構忙しいもので、思ったほど本を読む時間はないものです。でも卒業したらもっとありません。京都は本を読むのに適した、いい感じの喫茶店やら、川べりとかが沢山ありますので、どうか皆さんが楽しい読書時間に恵まれますよう。

演習(ゼミ)

演習テーマ:ドーナツ経済:ジェンダー平等×連帯経済×SDGs



(1)
山森ゼミでは2007年の開設以来、主に以下のことを演習で行ってきています。
  • グループワークを通じた各自の問題意識の発見と共有(2回生・3回生合同)
  • 他大学とのゼミ交流合宿(3回生主体・2回生自由参加)
  • 学術書の輪読を通じた問題意識の深化(2回生・3回生)
  • 現場で取り組む人々との交流(ゲストスピーカー招聘あるいはグループ単位でのフィールドワーク)を通じた問題解決への模索(2回生・3回生)
  • NPO団体などを招いてのイベントの開催(3回生)
  • 上記諸活動を踏まえたうえでの各自の問題意識に基づいた卒論執筆(4回生)

(2)
No one will be left behind=「誰一人取り残されることのない」社会の実現を目指すSDGs(持続可能な開発目標)が合意されて9年が経ちました。達成期限の2030年まで6年です。昨年度は、SDGsのうち「1:貧困をなくそう」「3:すべての人に健康と福祉を」「5:ジェンダー平等を実現しよう」「12:つくる責任つかう責任」などにフィールドワークやグループ研究を行ってきました。今年度春学期3回生は、「12:つくる責任つかう責任」に焦点を合わせ、琵琶湖の水質を守る取り組みと、そこから生まれた循環型経済を作る営みについてフィールドワークを行う予定です。4回生は各自の問題関心に基づき卒論執筆に取り組む予定です。

2年次演習

今年度の予定は以下の通りです。

1) 導入として、ドイツやクロアチアの若者たちが作った「脱成長」についてのボードゲームを行います
2) ケイト・ラワース『ドーナツ経済』(河出文庫)をみんなで読みます (N H Kによる著者のインタビュー:https://www.nhk.or.jp/chiiki-blog/900/368277.html)
3) ジェンダー平等やアンペイドワークについて、共働きで子育てをしているご家庭にゼミ生二人ひと組でインターンに伺います。(京都府とスリール株式会社にご協力いただいております)


[履修条件]
ゼミのテーマに興味をもっていること

3年次演習

過去の演習内容
連帯経済に学ぶフィールドワーク


[履修条件]
ゼミのテーマに興味をもっていて、関連文献を読んだりしていること。

卒業研究

グループディスカッション、卒論執筆など


[履修条件]
ゼミのテーマについてすでに研究をしており、卒論を書く予定であること。

関連する科目

既修・併修を強く勧める科目

既修・併修が望ましい科目
  • 社会政策1・2
  • エコロジー経済1・2
  • 脱成長・ジェンダー・ベーシックインカム
履修を勧める3年次演習関連科目

関連する演習


学生による「私のゼミ紹介」

山森ゼミ 2018年度の活動報告 

 2018年度春学期の山森ゼミは活動的な期間でした。5月にベーシックインカムの発想に関心を持った長野県中川村の前村長さんを訪問し、その地の連帯経済を見聞してきました。その下準備として、4月から中川村の調査を行い、連帯経済についての知識を身につけるため発表を繰り返し、学生同士の相互理解を深めました。
 また、それと並行してインドでの女性たちの連帯経済やジェンダー問題についても研究し、インドの女性差別に取り組む弁護士さんと、同じくインドのベーシックインカムや女性の労働組合についての研究者とを京都にお招きして、イベントを開催しました。(カレーの作り方も教えてもらいました!)
 長野県でのフィールドワークを終えると、そのレポート作成と、夏季休暇中に新たにフィールドワークを行うためその下調べに従事しました。
秋学期では11月に、横浜国立大学経済学部の相馬直子教授のゼミと研究報告会を行いました。報告会に向けて、山森ゼミでは、同年6月から3グループに分かれそれぞれ「新たな家族の形(同性パートナーシップ制度)について」・「福島 被災者支援」・「ベーシックインカム」をテーマに研究を始めました。福島から京都に避難している方にお話を伺ったり、イベント参加やNPO訪問などフィールドワークを重ね、文献による調査と合わせて知識を深めました。研究報告会では、お互い現在取り組んでいる研究について発表し、疑問や意見を交換し合いました。ゼミ内の意見交換だけでは得られなかった視点や新たな疑問も生まれ、今後のゼミ活動の糧となる貴重な時間を過ごすことができました。
(豊田 愛香、奈良 光彩希)

2018ゼミ中川村フィールドワーク[JPG 653KB]