横井 和彦
専任教員紹介
横井 和彦 YOKOI Kazuhiko

| 研究テーマ | 家族企業における持続可能な経営の生成メカニズムに関する国際比較研究 |
|---|---|
| 研究室 | 良心館563号室 |
| 演習(ゼミ)紹介 | 経済の「グローバル化」と中国経済 |
| 詳細 | 研究者データベース(オリジナルサイト) |
「改革・開放」から50年を迎えようとしている中国では、民営企業の事業承継が喫緊の課題となっています。こうしたなか日本に数多く存在する長寿企業が改めて注目を集めるようになっています。私の研究は、日本の長寿企業に注目し、中国の民営企業の持続可能な経営の生成メカニズムを明らかにすることです。
周知の通り、日本は世界でも類を見ない長寿企業の大量輩出国です。帝国データバンク「全国『老舗企業』分析調査 (2024)」によれば、日本の「老舗企業」(100年以上の歴史を有する企業)の数は45, 284社(2024年9月末点)であるといいます。同じく帝国データバンクの調査報告では、長寿企業のうち、同族継承率は82.1%となっており、8割以上の長寿企業が、創業家が代々事業を受け継いできた家族企業です。
一方、中国では今後10年で300万社を超える民営企業が事業承継という大きな試練に直面し、その資産規模は数十兆元(数百兆円)に上るといいます。民営経済はGDP(国内総生産)の60%以上、都市部雇用の80%以上を担っています。中国通信社(CNS)が紹介した中国民営経済研究会のデータによると、中国の民営企業も80%以上が家族企業です。
日本と中国は古くから文化交流がなされてきたため、伝統的価値観をはじめとして様々な面で共通性がみられる一方で、辿ってきた歴史も経済的・社会的発展段階も異なるため、様々な面で多様性も備えています。私の研究が焦点をあてる家族企業における危機対応と持続可能な経営のあり方に関しても、やはりこうした中国との共通性や多様性が大いに反映されていると予想されますが、具体的にどのようなものであるのか、考察を深めています。
学生へのメッセージ
諸君よ、もし理論をもって是非を判別せんと欲せば、決して難しきにあらざるなり。しかれども諸君よ、願わくばその理論に愛の油を注ぎ、もってこれを考えよ。(森中章光編『新島襄 片鱗集』より)
演習(ゼミ)
演習テーマ:経済のグローバル化と中国経済
かつて日本経済は、日本企業が国内で生産した製品を欧米へ輸出するという「経済の国際化」で発展しました。「経済の国際化」とは、財(商品)とお金(代金)だけが国と国との間を行き交うことを指します。
そして輸出拡大で貿易黒字が増え、とくに米国との貿易摩擦が激しくなると、円が切り上げられて日本製品の価格が高くなるように仕向けられました。1971年に円の切り上げが始まり、1973年には変動為替相場制に移行しました。円高による製品価格の上昇で困るのは日本企業だけなので、円高は急激に進行しました。
一方、中国も経済発展にともなって輸出が増え、今や世界第1位の輸出大国です。けれども輸出の3割(金額ベース)は外資企業が中国国内で生産した製品です。中国の経済発展が、「改革・開放」で経済特区、経済技術開発区、開放都市、高新技術産業開発区を設けて外資企業を受け入れるという、「経済のグローバル化」によるものだからです。「経済のグローバル化」とは、資本(企業)が国と国との間を移動することを指します。したがって、元の切り上がりで製品価格が上昇して困るのは中国企業ではなく、中国に進出した外資企業なので、かつての円のような急激な切り上げはなかったのです。
日本が「経済の国際化」で経済発展するにつれて、とくに米国との間で貿易摩擦が激化しました。さらに、円の変動為替相場制への移行で円高基調となりました。けれども日本企業は、より低価格で高性能・高品質な製品を開発、輸出することで発展し続けたのでした。
そこで1982年、ホンダが日本企業で初の乗用車の米国現地生産を開始しました。これが日本の経済発展が「経済の国際化」から「経済のグローバル化」へと転換する先駆けとなりました。そして1985年のプラザ合意によって円高が決定的となると、日本企業の海外生産が加速しました。折しも「改革・開放」によって外資受け入れを推進していた中国がその受け皿となったのでした。
今日の中国経済は「経済のグローバル化」の方向性の転換を迎えています。すなわち2023年の対外直接投資額(フロー)は前年比8.7%増の1,772億9,000万ドルでした。米国、日本に次ぐ世界第3位です。他方、対内直接投資(ネット)は前年比81.7%減の330億ドルに急減しました。この資本の流れの変化が、中国企業のグローバル化を決定づけるといえるでしょう。
このように日本経済の歴史をふまえながら、「経済のグローバル化」という経済発展の原動力に注目して、中国の経済や企業について考えていくのがこのゼミの特徴です。
| 2年次演習 |
|---|
|
園田茂人編(2022)『はじめて出会う中国〔改訂版〕』有斐閣アルマを手掛かりに、飛躍的な経済成長とともに国際社会における存在感を増す中国を理解するために必要な基礎知識を、「この広大な中国がどのように統治されているのだろう」「中国ではどのような変化が生まれているのか」「中国は世界で尊敬される国になるか」という3つの疑問から学びます。 [履修条件] |
| 3年次演習 |
|---|
|
梶谷懐・藤井大輔編著(2025)『新・現代中国経済論』ミネルヴァ書房を手掛かりに、歴史とともに農業・産業の成長政策をおさえる一方、成長によって生じた問題点を学びます。 [履修条件] |
| 卒業研究 |
|---|
|
中国経済に関するテーマで卒業研究をまとめようと考えている学生を対象とします。 [履修条件] |
関連する科目
既修・併修を強く勧める科目
- 経済学の歴史
- 中国経済
- 経済史
- 中国経済史
既修・併修が望ましい科目
- アジア経済
- 政治経済学1・2
- アジア経済史
関連する演習
学生による「私のゼミ紹介」
私たち横井ゼミは、中国経済をテーマに学ぶゼミです。一言で表すなら、多様な価値観の中で議論を深められるゼミだと思います。ゼミには体育会に所属する学生や留学生など、さまざまな背景を持つメンバーが在籍しており、毎回のゼミでは活発な意見交換が行われています。
2年次演習では文献を読み込み、中国経済の基礎を学びました。3年次演習では、対中ビジネスを想定したバーチャルカンパニーを企画し、名城大学との合同ゼミで発表を行いました。市場や制度、文化的背景を踏まえて事業計画を考える中で、実践的な思考力を身につけることができました。
また、横井先生は学生一人一人を大切にしてくださる先生です。私はアメフト部に所属していましたが、学年を越えて部員が集まる会を開いてくださるなど、ゼミ外でも交流の機会を設けてくださいました。学年を超えたつながりを大切にする横井ゼミでの学びは、今後も大切にしていきたい経験です。
(川端夕暉)