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2022年度のレポート(和歌山県串本町におけるサンゴ礁の持続可能性)

学生ケーザイレポート(2022年度)

和歌山県串本町におけるサンゴ礁の持続可能性

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 私たちは、「地球温暖化のサンゴへの影響〜和歌山県串本町の事例を通して〜」というテーマで、2022年4月から8月にかけて調査、研究を行った。研究動機は、オーストラリアのグレートバリアリーフが過去22年間で半減したというニュースを目にしたことである。
 研究仮説は、和歌山県串本町のサンゴ群衆域は、サンゴの生息地としては世界最北端に位置するが、進行を続ける地球温暖化によって悪い影響が出ているのではないかということである。
 研究は、文献調査と現地での聞き取り調査で行われた。文献調査では、現在地球温暖化によって、過去最高の海水温と酸性度になっており、サンゴの75%が危機的状況にあることがわかった。ただ、串本海中公園で毎年行われている定点調査をもとにした文献調査では、2020年のサンゴの大量白化現象以外は概ね良好で、オニヒトデによる被害も少ないことがわかった。そこで、私たちは主に2020年の白化現象について調査するために現地へ向かった。
 結果として、2020年の大量白化は地球温暖化による影響とは関係がないことがわかった。大量発火の原因は無風晴天の日が続き、海水温が上昇したことであった。他にもサンゴが死滅する原因として、暖流である黒潮が流れ込み続け海水温が上昇したり、逆に黒潮が蛇行して海水温が低下したりすることがある。サンゴが白化しているから地球温暖化の影響を受けているとは一概に言えないのである。
 しかし、今回調査した和歌山県串本町は、前述の通り、世界で最北端に位置するサンゴ群衆域である。そのため、まだ地球温暖化による影響を受けていないと考えられるが、2009年の屋良他の論文によると、21世紀半ば以降に深刻な白化を起こす可能性があるため、世界規模での解決が求められる。