2023年度のレポート(人工芝が及ぼす被害調査~環境、人体への悪影響~)
学生ケーザイレポート(2023年度)
人工芝から発生するマイクロプラスチック流出抑制対策
~多摩市暮らしと文化部スポーツ振興課の実証実験を基に~

近年教育の場でも増加している人工芝は、天然芝に比べメンテナンスが容易で年中利用できる反面、環境面でMPs(マイクロプラスチック)の流出による海洋汚染が問題視されている。経年使用により破断した人工芝の原糸や充填材(ゴムチップ等)が場外に流出し、これらが河川や港湾に排出されてMPsとなる。同志社大学の京田辺キャンパスの人工芝では対策が行われておらず、周囲に充填剤が散乱している現状から、流出対策が必要であると考えた。そこで、先行してMPsの流出対策を行っている多摩市の実証実験に注目し、同志社大学の人工芝で応用できないかと考え、多摩市役所スポーツ振興課を訪問し、取材と現地調査に協力して頂いた。
多摩市は住友ゴム株式会社と共同調査で、テニスコートの側溝にMPsを捕捉するフィルターを設置し、雨で水路に流れるのを防ぐ取り組みを行っている。現地調査の結果、不織布フィルターの設置がより細かいMPsを捕捉でき最も有効であるが、落ち葉や雨量によって排水阻害を起こす点が課題であると分かった。また、グラウンド調査では各所でMPsが確認でき、特に集水桝付近や側溝に多いことから雨が一番の流出原因だと考えた。京田辺で採用しているロングパイル式人工芝で発生するMPsは目の粗いフィルターでも捕捉可能であるため、不織布フィルターに比べ排水阻害が起こりにくいと予想される。多摩市の取材をもとに、京田辺グラウンドでフィルターを実験的に設置する提案を行ったところ、費用面などからすぐに実施はできないが自主的に設置するのは構わないという意見を頂いた。今後の活動では、導入に向けてグラウンドの排水状況や設置するフィルターを検討し、費用対効果を調査したいと考えている。