2023年度のレポート(宮城県におけるフードデリバリーサービスが与える経済影響)
学生ケーザイレポート(2023年度)
宮城県におけるフードデリバリーサービスが与える経済影響
私たちは、近年成長している産業であるフードデリバリーに着目し、「新サービス提案によるタクシー業界の今後-仙台市とフードデリバリーの事例を踏まえて-」というテーマで研究を行なった。本研究では、買い物を困難とする高齢者に向けたサービスの提案を行い、このサービス提案を通して、現在のタクシー会社の問題や法制度についての指摘を行なうことを目的とした。
私たちの研究は、過疎地域の活性化を図ることが根底にある。しかし、従来のフードデリバリーサービスは本社が都市部に存在しているため、売上の一部が都市部に流れてしまい、まちに全ての利益が還元されないという点が問題であった。また、私たちは宮城県を調査対象として焦点を当てた。そこで、宮城県の現状について調査を行うと、タクシードライバーの売上が減少しつつある現状と廃車のタクシーが余剰資源として存在していることが明らかになった。そこで、この余剰資源であるタクシーを利用して、従来のデリバリーサービスに代わってタクシー会社がデリバリー業を担うという新しいデリバリーサービスの提案を行なった。このサービスが実現できれば、高齢者を対象とする消費者、地元のタクシー会社と店舗の3者に利益をもたらし、地域をより活性化できるのではないかと期待する。しかし、調査を進めていくと、送業の中でも貨物運送と旅客運送とで分かれているという法律上の問題により、実際にサービスを実現させることは難しいという結果に至った。そして、本研究の結論として、法制度が地域活性化の可能性を狭めているのではないかと指摘した。
本研究では、フードデリバリーの実案を提案することによって、過疎地域の抱える問題を明らかにすることができた。そして、今後の過疎地域や高齢者地域に対し、どのような対応をとっていくべきかを深く考察できたという点において、大きな学びを得られたと考える。