2024年度のレポート(実践公共経済学:京都市のオーバーツーリズムを解消しよう)
学生ケーザイレポート(2024年度)
実践公共経済学:京都市のオーバーツーリズムを解消しよう

本プロジェクトでは、「実践公共経済学:京都市のオーバーツーリズムを解消しよう」というテーマで研究を行った。このテーマに設定した理由は、京都で生活するなかで観光客の増加を実感し、地域住民にも影響と与えている現状があった。そこで京都市の観光と地域住民とが共生できる施策を考えるため、京都市観光の現状とその対策について京都市観光協会に取材を行った。現在京都市は、時期・時間・場所の3つの分散化に取り組み、人気観光地への集中を緩和する施策を行っていた。
以上の取材から観光地の混雑緩和が京都市観光の持続的な発展につながると考え、私たちも観光客の分散化に着目して施策を立案した。京都観光に用いられる京都観光Navi内において穴場の観光スポット情報の提供やポイント制度の活用で、観光地の混雑緩和、閑散地区の活性化が期待できると考えた。それぞれの施策に対し、先行研究から京都観光Navi内での情報提供が観光客の情報行動に影響を与え、旅マエの適切な情報提供が混雑緩和に効果があるとわかった。またポイント付与の実用性については、スポーツイベントでの帰宅分散の例において、ポイント付与を利用した人は利用してない人と比べて帰宅時間を遅らせており、ポイント付与が混雑回避のインセンティブになっていることが分かった。以上の結果を踏まえて京都観光Navi内での観光地の情報提供、ポイント制度を立案したが、原資の確保やシステム構築、提携店の開拓など実際の導入までには課題が多いことも明らかとなった。今後は具体的な数値を用いて制度を導入した際の効果などを試算することでより具体性を持った提案を行いたいと考えた。
研究を通して、京都市観光に対する知見が広がったと同時に、京都市が分散化を自はじめとする様々な取り組みで混雑緩和を図っていることが分かった。また京都市民として京都の現状と未来への持続可能性に対する問題意識が向上した。