2024年度のレポート(廃校による地域資源の再編成と地域活性化)
学生ケーザイレポート(2024年度)
廃校による地域資源の再編成と地域活性化

―廃校―これは看過できない社会課題である。
現在、日本では毎年約450校もの学校が廃校となっており、人口減少が進む日本では今後も増え続けるだろう。一方で廃校を有効活用した施設も数多く存在する。そこで我々は廃校活用に注目し、本研究では学校が地域社会に果たす役割を基点に廃校活用を考えた。まず廃校の発生理由には人口減少と自然災害の2つがあると考え、人口減少が進む京都と東日本大震災の被害を受けた宮城に焦点を当て、廃校の活用方法など地域の特性を比較する形で調査を進めてきた。
京都では「京都国際マンガミュージアム」や「京都市学校歴史博物館」を、宮城では「未来創造校」や「さんさん館」をはじめ、計6つの廃校活用施設を訪れ、ヒアリングを行ったところ、以下の点が明らかとなった。
・学校は教育的側面で社会インフラとして機能していること
・廃校活用は社会インフラによる再編成が求められ、共通の役割を持つ場合があること
・地域によって廃校活用に求められる役割が異なること
学校は社会的価値に重点を置き、社会インフラの中でも教育的側面が強い。そのため廃校活用は地域における社会インフラを担う施設として再編成することが求められると分かった。加えて、京都と宮城の事例を比較する中、「文化・伝統のアーカイブ」「地域コミュニティの形成」という2つの役割はどの廃校施設にも共通する要素だと感じた。さらに地域的特徴を踏まえ、京都ではインバウンド客に対応すべく廃校をホテルとして活用し、宮城では東日本大震災の経験から地域防災の拠点として活用するなど、地域における社会インフラの特異性も見られた。
我々は廃校活用施設への訪問や研究を通して、地域における社会インフラの変遷を捉え、その時代に合わせて廃校を活用することで持続可能な日本社会の基盤を作ることに貢献できる可能性があると考えている。