2024年度のレポート(経済政策の視点から考える地方創生)
学生ケーザイレポート(2024年度)
経済政策の視点から考える地方創生

ゲーム理論から考える都市と農村
本プロジェクトは「経済政策の視点から考える地方創生」というテーマをもとに活動を進めるにあたり、初めの段階としてそもそもの都市と農村の比較研究を行うことにした。ただ地方といってもかなり大きな分類がある。そこで今回は地方を柳田邦男の「都市と農村」で扱われるような農村部分であると仮定して研究を進めた。
今回のプロジェクトで得た成果は都市と農村では他人への信頼度に有意な差が発生しないということである。今回の研究のために私たちは京都府京丹後市間人地区へ訪問し、地域の方から都市に住む人々に対して農村に住む人々は他人への信頼度が高いということを伺った。そこで私たちはこの話が本当であるのかと思い、実際に実験を通じて解明しようと考え、今回のプロジェクトの大きな転換点になった。
この仮説の検証をするために活用した実験は信頼ゲームと呼ばれる経済学の中でもゲーム理論と呼ばれる一分野の中のツールの一つを活用した。この調査のために被験者を100名募集し、各自の申告により出身地を都市と農村を分類し、そこで信頼ゲームを行った。また、分析のために帰無仮説を都市と農村では信頼度に差がない、対立仮説を都市と農村では信頼度に差がある、と考え有意水準5%で仮説検定を行った。結果は農村の他者への平均信頼度は5.64であり都市の他者への平均信頼度は4.98とやや農村の方が他者への信頼が高いということが判明した。しかし、仮説検定ではP値が0.297となり帰無仮説は棄却されなかった。このことから多少でも農村部のほうが信頼度の高い可能性は捨てきれないが帰無仮説を棄却できない以上何とも言えない、という結果となった。
以上のことが今回のプロジェクトで得た一番大きな成果である。また、この成果以外にもそれぞれメンバーが得た経験が沢山あるが当文章には書ききれないのでぜひ学生プロジェクトに参加してみたいと考える人たちは積極的に参加してみてもらいたい。