2024年度のレポート(高山市の高付加価値化と地域活性化)
学生ケーザイレポート(2024年度)
高山市の高付加価値化と地域活性化
コロナ禍で疲弊した観光産業の再興を目的に、観光庁は観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業を立ち上げた。この事業は、「稼げる地域」「稼げる産業」を実現させるためのものである。
本研究では、高付加価値化に取り組む岐阜県高山市を調査対象とし、高付加価値化と地域活性化をテーマとした。
高山市は飛騨地域の中心都市であり、観光産業が盛んでインバウンド客も多い。本研究の目的は、高山市の経済の持続可能性に寄与する「畜産」と「林業」に焦点を当て、各分野の高付加価値化施策を評価し、改善策を考察することである。我々は「観光産業と結びついた代表的産業の認知度拡大による高付加価値化が最終的に地域活性化につながる」と仮説を立て、実地調査を行った。
畜産業では、行政やJAによる販促活動、ふるさと納税、クラウドファンディングが進められ、品質管理も徹底されているため、すでに認知度が確立されている。しかし、実地調査を経て、観光との結び付きは曖昧であると感じたため「食べる」体験を増やすことで認知度向上が期待できるのではないかと考察した。
林業では、高品質な木材と加工技術を活かし、ホテルや工房との連携が進められている。しかし、飛騨木工を使用した家具などは非常に高価格であり、中間層が手を出しにくいことが課題である。よって、観光との結びつきにおいて、より一層の体験価値が求められている。
以上より、畜産では「食べる」、林業では「触れる」といった実体験の提供、つまり体験価値の提供を強化し、観光を通じた代表的産業の認知度拡大を図ることで、産業への関心が高まると考察した。さらに、体験価値の提供は、最終的に購入につながり、観光客の増加、代表的産業の発展といった地域経済の発展に寄与すると考えられる。