2020年度のレポート(イノベーションと伝統による農業の潜在性と可能性)
学生ケーザイレポート(2020年度)
イノベーションと伝統による農業の潜在性と可能性―京野菜のブランド力―
本プロジェクトは、「イノベーションと伝統による農業の潜在性と可能性」というテーマで4月から11月末にかけて研究を行いました。京野菜は古来よりの特徴を色濃く残しており、美味しく、更に近年の研究では健康維持に寄与する機能成分も多く含む魅力的な生産物であることがわかってきています。そこで京野菜を用いて京都を活性化させることを目的として日々研究に励みました。
研究を進めるにあたり、消費と生産の2つの側面から京野菜を分析しました。初めに消費の面から考えました。多くの消費者は京野菜に対して「値段が高い」というイメージをもっていることがわかりました。しかし京野菜はブランド化に成功しており、抗酸化性と発がん抑制機能という健康への2つの効果があると言われています。そのため、京野菜は高いというイメージを、美味しさ・機能性を兼ね備えているからこそ値段が高いというイメージに価値変換することが重要であり、そのために宣伝方法を工夫することで需要を増やすことができると考えました。
次に生産の面から考えました。京都府の農産物の生産量は年々減少しており、農家数も30年で約45%減少しています。また耕作放棄地の面積は年々増加傾向にあり、これらのことから、現状として京都府において農業は衰退していることがわかります。そこで「シェアリングエコノミー」を導入することで生産量、農家数ともに増加させることができるのではないかと考えました。また、企業が農業に参入してくることで耕作放棄地を利用できる可能性があることが明らかになりました。
これらのことから、京野菜はとても潜在性と可能性に満ちた野菜であると考えます。京野菜を研究することは、京都の観光収入以外の安定した持続可能な経済基盤を見出す点において、大きく意味のあることであるでしょう。今後研究が進むことで、京野菜が脚光を浴び、ブランド野菜の成功モデルが構築されると幸いです。