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2020年度のレポート(重要文化財の修繕による経済便益の調査)

学生ケーザイレポート(2020年度)

重要文化財の修繕による経済便益の調査―平等院鳳凰堂・清水寺を例に―

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私たちのゼミでは「重要文化財の修繕による経済便益の調査」をテーマに研究を行いました。テーマを考える際に私たちが大学生活を送る京都にちなんだものにしようという意見が挙げられ、「文化財」に着目しました。そこでゼミで学んでいる公共経済学の理論を用いて文化財を保護することの意義を研究したいと考えました。
今回のプロジェクトでは平成24~26年にかけて行われた宇治市の平等院鳳凰堂の「平成の大改修」を例として調査・分析を行ないました。まず、いくつかの研究手法の中からふさわしい方法の選定を行いました。そこで割引現在価値(改修後に見込まれる便益を割り引いて現在の価値に換算するというもの)を用いて改修後の総便益を算出するという手法を採用しました。次に、そのために必要な宇治市の観光入込客数や観光消費額といったデータの収集を行いました。その際に、実際に平等院鳳凰堂へ足を運んでの実地調査や平等院の方へのメールでの聞き込み調査を通して情報の収集を行いました。収集したデータから平等院の改修の前後5年間での観光消費額の平均を求め、割引現在価値によって改修の便益と費用を比較すると、平等院の改修において「約668億円」もの純便益が得られることが分かりました。この研究結果から文化財の改修は歴史的・文化的に意義があるだけではなく、観光客数や観光消費額の大幅な増加によって多大な便益が見込まれるという点で経済的にも非常に大きな意義があることが分かりました。
私たちのゼミは3回生が3人だけで、非常に少人数で今回のプロジェクトを進めなければなりませんでした。しかし、有志として参加してくれた2回生のメンバーの協力やゼミの先生方からの的確なアドバイスのおかげで、文化財保護の経済学的な意義を証明することができました。今回のプロジェクトを通して得られた知識や経験を活かして、今後の卒業論文の執筆や就職活動に励んでいきたいと思います。