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2021年度のレポート(宇治市の観光資源を活かした地域の活性化)

学生ケーザイレポート(2021年度)

宇治市の観光資源を活かした地域の活性化

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 私たちは「和束茶ブランド化に向けた取り組みと諸問題 〜”茶源郷” 和束町での調査を通して〜」というテーマで2021年8月から12月にかけて研究を行った。研究動機は、当初は宇治市の観光資源である「宇治茶」の認知度が85%と高いにも関わらず、観光客の関心が薄い「宇治茶」をいかにうまく使うかを検討していた。しかし、調査を重ねるにつれて宇治茶の意外な事実が明らかになった。宇治茶は宇治市だけではなく、他地域でも栽培された茶葉で作られているということである。「宇治茶」の定義やブランド化による利益等、様々な疑問を持った。その時に、宇治茶の主産地である和束町に出会った。和束町は京都府の南部、滋賀県との県境に位置し、山林が豊富で茶産業が基幹産業である。「和束茶」というブランドを有する。研究目的は、宇治茶全体の42%を占める「和束茶」が独立ブランドを確立して「宇治茶」との差別化を図った理由を明らかにすること、と設定し研究を開始した。研究では複数の先行文献を読み、和束茶の生産者や町役場、和束茶カフェに聞き取り調査を行った。研究の結果、和束茶は地域経済の活性化が目的ではなく、地域コミュニティの維持が目的であることが明らかになった。また、和束茶は宇治茶との差別化を図るというよりは、宇治茶のブランド力を活かしながら共存関係にあることが明らかになった。課題として、先行研究や役場からの評価と生産者からの評価のズレがあること、宇治茶と和束茶の間で明確な差別化がされていないこと、という点が明らかになった。本研究を通して、文献や書籍等による調査だけでなく、実際に現地に足を運び、多様なセクターの声を聴くことの大切さを痛感した。地域の特産品を活かしたまちづくりに関して、今後も研究を重ねていきたい。